業界MAP ゼネコン業界編

数年の間に経営破綻が相次いだゼネコン業界。だが、それも各社の業務提携や資本参加など業界内での協力体制を強化することで、一通り落ち着いてきたといえる。マイナス面が多い注目業界として、成長産業ではないとの見方をする専門家が多い中、その現状と近い将来の展望をみていこう(取材・文 小林弘司)

業界MAP ゼネコン業界編

 

業界動向

景気回復に伴う民間投資に期待

石田和成氏

Profile
財団法人建設経済研究所
常務理事
石田和成(いしだ・かずなり)

1975年に建設省に入省。1985年に千葉県商工労働部工業課長、1992年に建設省建設業課建設市場アクセス推進室長、1998年に本州四国連絡橋公団業務部長を歴任。2005年に国土交通省を退職し、建設経済研究所へ。建設産業、入札制度などの調査研究を担当。常務理事も兼任する

 バブル崩壊以降、財政の圧迫による公共事業の減少により、苦しめられてきたゼネコン業界にとって、2004年度は、若干ながらも状況の改善が見られる年となった。政府投資は21兆800億円(前年度比11.1%減)と縮小したものの、企業の設備投資などによる民間投資の回復により、31兆6900億円と前年対比で約4.9%の増額となった。総額では52兆7700億円と同2.2%の減となっていたが、有利子負債の削減は直実に進み、財務体質の改善が顕著になってきている。

 2005年6月、国土交通省によって発表された2005年度の建設投資見通しでは、政府投資が19兆3000億円(対前年比8.4%減)、民間投資が32兆300億円(同1.1%増)と、総額では前年比2.7%減の51兆3300億円(見通し)となっている。

 「これまでの経済の低迷に加え、少子高齢化の傾向に拍車がかかり、相変わらず厳しい状況ではありますが、景気回復による民間投資が2年連続して増えているのが好材料。今後のさらなる市場の活性化に期待が高まっています」そう語るのは、建設経済研究所の石田和成氏だ。

 業界内の勢力図を見ると、1兆円超規模の売上高を確保する大成建設と清水建設(みずほ銀行系)、鹿島建設(三井住友銀行系)、大林組と竹中工務店(三菱東京UFJ銀行系)の、いわゆる「ビッグ5」の強さは不動の地位を守っている。しかし、準大手以下では、ここ数年の間にいくつもの企業が経営破たんに追い込まれているのが現状。また、そこまでいかなくとも大幅に売上を落とした企業もいくつもある。企業間の格差がさらに鮮明になってきたといえる。

 こうした中、2004年末以降、熊谷組と飛島建設の経営統合が撤回され、三井住友建設とフジタの統合も白紙になるなど、今後の動向に不透明感が拭えない面もある。しかし、石田氏は「一口にゼネコンといっても企業の風土はさまざまで、規模ばかり大きくしてもそれが競争力とイコールになるとは限りません。長年の懸案事項だった不良債権処理の問題もおおよそ片付き、経営危機が一段落した今となっては、風土を無視して合併してもそれほどメリットがないのです」

 加えて、56万社にも及ぶ建設業者の数と市場規模との問題はしばらくは続くも、準大手以上の業界再編は、大きな動きにはならないだろうとも石田氏は分析する。治水、道路・鉄道、電気・ガスなどの生活環境施設から住宅やオフィスビルなど、生活に密着した公共性の高いものづくりで、国内全産業の約10%を占めるゼネコン業界だけに、今後の動向が注目されるところだ。

求められる人物像

 建設業は古来から続いてきたもので、決してなくなる産業ではありません。また、シールド工法など、海外企業では容易にまねのできない技術の開発や革新が日夜、進められている業界でもあります。そのため、これからは海外でのプラント建設や大規模土木工事など、国際貢献を視野に入れた活動への需要や期待が高まっていくでしょう。また、地球環境に配慮した工法の確立や、施設の建設など、社会的に意義のある事業に従事する機会も増えてくると思います。古い業界だからこそ、革新的な要素があれば大きく変わる可能性もある。その意味からも、私利私欲のためでなく公の心を持ち、何十年もの寿命を持つ大きな建造物を作ることにロマンを感じるような人にとっては、これからもやりがいのある仕事であり続けると思います。

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