業界MAP ホテル業界編


リッツ・カールトンやペニンシュラなど、名だたる外資高級ホテルブランドが日本に進出し、出そろう2007年問題。鉄道グループ系ホテルと外資高級ホテルの提携も
盛んになる中、サービスの概念で抜きに出る欧米勢に日本のホテルはどのように対抗していくべきなのか。今後の日本のホテル業界の展望を探る

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業界動向

“2007年問題”直前の今がキャリアアップの好機!

海老原靖也

Profile
ABCホテル・マネジメント代表
大正大学客員教授
海老原靖也
(えびはら・やすなり)

明治学院大学経済学部卒。芝パークホテルに入社し、マーケティング部長などを 経てNHVホテルズインターナショナル、ザ・ウィンザーホテルズ・インターナショ ナルなどの役員を務める。2003年にABCホテル・マネジメント設立。大正大学客員 教授、日本ホテルレストラン協会常務理事、日本ホテル産業教育者グループ会員

 2004年に厚生労働省が発表した統計によると、2003年時点で日本には約8700軒のホテルがあり、総客室数は約66万5000室にも上るという。旅館や民宿といった独自の宿泊と滞在スタイルを提供していた日本が、欧米型の観光とレジャーを主体としたホテル業を本格化させたのは東京オリンピックが開催された1964年。世界中から来日する観光客をもてなす目的で、「ホテルオークラ」「東京ヒルトンホテル」「ホテルニューオータニ」「東京プリンスホテル」などが相次いで開業したことはよく知られている。ホテル業界ではオリンピック開催時を“第一次ホテルブーム”と名づけており、その後、1969年の第二次ブーム(大型化)、1971年の第三次ブーム(高層化)とを経て現在のような市場規模へと発展してきたと位置づける。

 ABCホテル・マネジメント代表でホテルマネジメントの専門家である海老原靖也氏は次のように語る。「大都市、特に東京に大型ホテルがひしめきあっている現状をみると、明治23年に開業した帝国ホテルをはじめ、ニューオータニ、ホテルオークラのいわゆる『御三家』を中心に順風満帆にビジネスを広げてきたように思われます。しかし実情の経営面では、工夫の余地は多いのが現状です」

 その理由として海老原氏は、世界中の国・地域でホテルビジネスを定着させてきた有名ホテルチェーンと比較して、日本のホテルは“所有”“経営”“運営”それぞれの主体がきちんと役割分担されていないことを挙げる。たとえば「新御三家」と呼ばれる外資系のウェスティンホテル、フォーシーズンスホテル、パークハイアットなどは土地・建物の所有と経営は日本企業。運営だけを外資のホテル運営会社が担うビジネスモデルを用いている。外資運営会社は世界中で長年にわたって培ってきたサービスの姿勢やきめ細かなノウハウを反映させて、利用者の満足度向上に集中して取り組んでいるのだ。

 「キーワードはサービスではなく『ホスピタリティ』。サービスの語源はservus(奴隷)で、“仕える、奉仕する”というニュアンスが含まれています。一方ホスピタリティの語源はhospes(異国の旅人をもてなす人)。“もてなす、相手の心や気持ちを理解する”という意味が含まれ、奉仕とはまったく意味が違います。ホテルの顧客は、提供されたサービスへの対価として代金を支払いますが、ホスピタリティは顧客にとって完全にサービスにプラスされた付加価値なので対価の対象外です。ホスピタリティの存在の有無がホテルの良否を決め、これを発揮するのがホテルで働く従業員、つまりホテルマンたちなのです」

 全国の大型ホテル、シティホテルの市場規模は約1兆円と試算されている。いま業界を超えて新たな脅威と指摘されているのが「2007年問題」だ。首都圏を中心に外資系有名ホテルが次々に開業時期を迎えて、海外からの観光客だけでなく国内顧客の奪い合いもさらに激化することが懸念されているのだ。

 「確かに外資系のホテルにはブランド力があり、顧客満足度を高めるノウハウもあります。ここから学ぶことは多いですが、国内ホテルもアメニティの向上や顧客重視の運営へとシフトしはじめています。ホテル業界でキャリアアップを目指そうという若手にとってはここ数年が大きなチャンスといえますね」

 2003年時、東京の全ホテル客室数は約8万5000室。これに対して2005年から2007年春までにオープンする外資系ホテルの客室数は合計しても約1000室。影響は微々たるものと語る専門家も多いが、本格的な景気回復とデフレ脱却の時期を迎えて“ワンランク上”を求める顧客の志向は重要と海老原氏は指摘する。

求められる人物像

 ホテルにおける真のサービスとは? 真のホスピタリティとは? を知ろうと努力し、学ぼうという意欲のある人、向上心のある人ですね。若手の場合は料飲部門、宴会部門、宿泊部門それぞれの“現場”で働くスタッフが最初のステージです。現在も求人数は多いですが、今後はさらに“優秀な人材候補”を求めるところが増えます。優秀なホテルマンを目指す若い方々にはまずは御三家である「帝国ホテル」「ニューオータニ」「ホテルオークラ」のサービスを観察することを勧めます。特長のあるホテルは、ロビーに座っているだけでもその姿勢や個性がわかりますから。それから自身の目指すべきホテルマン像を明確にして転職に役立てていってはどうでしょうか。

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