広告業界編

「インターネットはマス・メディアではない」という一部の専門家の声もあるが、広告
業界は、早くからインターネットをマス・メディアのひとつとして捉えてきた。
大手総合広告代理店を中心に取り巻く広告業界の現状や展望を、インターネット
広告会社にも重きを置きながらみていこう。(取材・文/小林弘司

業界MAP 広告業界編

業界動向


メディア・ニュートラル進み、高まるコンサルティング要素

 田中里沙

Profile
株式会社 宣伝会議
『宣伝会議』編集長
田中里沙(たなか・りさ)

1989年学習院大学卒業後、広告会社を経て、1993年宣伝会議入社。『宣伝会議』編集部配属、1995年副編集長を経て、1996年に編集長に就任。2000年より『月刊 販促会議』のデスクも兼任。専門は企業の広報宣伝戦略 、消費・トレンド・流行分析など。新聞、雑誌などへの執筆多数

 経済環境が低迷すると真っ先にカットされるのが広告費。そのため昨今低迷が続いていた広告業界だが、2004年度はデジタル景気やオリンピックなどの影響により4年ぶりに増加。さらにこのところの景気回復基調を背景に、2005年度は5兆9625億円と増益、明るい兆しが見えてきた。

 国内シェアの25%を独占する業界のガリバー「電通」や、業界2位の「博報堂」と4位の「大広」、6位の「読売広告社」の3社による持ち株会社「博報堂DYホール ディングス」などの大手代理店は順当に売上を伸ばしている。また、厳しいといわれていた中堅・中小代理店も専門分野を見据えた新手法・新商品の提供により業績を拡大している。

 「特に大手企業を中心に、ここ数年で本格化してきたWebを利用した広告やコミュニケーションに関心が集まっており、Web広告やモバイル広告は、今後さらに伸びることは確実視されるでしょう」と、広告業界の動向に詳しい『宣伝会議』の田中里沙編集長は現状を解説する。「最近では、現状のニーズに対応するだけではなく、数年先を見越した新しいビジネス戦略も盛んです。ITやヘルスケア、さらに団塊世代が大量に退職する2007年問題を含めたシニア世代向け商品・サービス展開などに目が向けられているようです」

 社内の組織変更や他社との業務提携、M&Aなど戦略改革に乗り出す動きも活発だ。代理店同士というより、例えばIT企業と連携し、eビジネスに特化したソリューションセンターを設立するなど、お互いの得意分野を活かしたWin to Winの関係づくりが多い。だが、代理店の規模が拡大してもそれだけではクライアントのメリットにはならない。

 「そこで今日のキーワードになっているものの1つが、“メディア・ニュートラル”です。これまでの代理店ビジネスは、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌の4マスメディアからの手数料が収入の要でした。ですが、いまは単にメディアの切り売りだけでなく、顧客の課題解決のために、4マスメディアにネット広告、SP(セールス・プロモーション)などを総合した戦略を立て、提案できるかでクライアントの評価が変わってきています。その意味でコンサルティングの要素が大きくなり、ビジネスとしての面白みも大きくなっています」

 つまりコミッション・ビジネスからフィー・ビジネスへの移行が進んでいるということである。さらに昨今では、国内企業の進出に伴い、アジア地域を中心にグローバル化が加速している。媒体をニュートラルに捉えられた分だけビジネス・フィールドは拡大し、働き甲斐も加速度的に大きくなることが期待されている業界といえる。

求められる人物像

 広告業界では現在、4マスメディアと新メディアであるネット広告、それにSPやPRも含めた総合プロデュースができる人材が求められています。そのため、既存のメディアを主体としていた代理店と、ネット専業の代理店との人材の交流も盛んになっています。それに事業戦略など、コンサルティング的な要素も大きくなっているので、クライアント企業の業務に精通した実務経験者やコンサルタントなど、異業種からの転職組も多いのが最近の特徴といえますね。いずれにしてもアイデアが重要なので、情報収集力や企画力、それに説得や交渉に長けたコミュニケーション力も求められるでしょう。広告の領域が拡大している現在、幅広く、ぜひ、チャレンジして欲しいですね。

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