情報サービス業界

転職市場において、最も募集数が多い職種のひとつがSE。活躍する業界の中心となるのが、SIerをはじめとする情報サービス業界だ。ITビジネスの中心を担う業界というだけではなく、有名企業は、大手メーカーや商社などから派生しているところが多いため、技術職以外の人も相関図を知っておいて損はないだろう。

業界MAP 情報サービス業界編

業界動向

ITからICTへ――。企業も人材も求められる“進化”

飯島 淳一氏

Profile
東京工業大学・
大学院社会理工学研究科
教授
飯島 淳一氏
(いいじま・じゅんいち)

1954年生まれ。東京工業大学・大学院博士課程修了。1996年より現職。ITやコミュニケーションと経営の接点に関心をもつ研究者、実務家、教育者などに対し、企業や組織、社会、個人の情報、およびITの活用に関する場を提供することを目的とする経営情報学会の会長も務める。

 いまや、企業活動のみならず、社会生活のインフラとして欠くことのできないIT。その牽引役となっているのがSIerを中心とした情報サービス業界だ。大手企業の情報部門の分離・独立が業界の礎となっており、ガリバー的な存在であるNTTデータを筆頭に、売上上位企業には、メーカー系、商社系、ユーザー系の企業が数多く名を連ねている。

 業界の動向としては、個人情報保護法が施行されたことにより、この1〜2年はセキュリティ関連の需要が顕著で、案件数自体は堅調に推移している。しかし、公共投資の抑制などにより官需に対する依存度が高い企業の苦戦が明らかになってきているのが特徴といえる。

  「本来のITに求められる要件レベルの高さと比較して、プロフェッショナリズムが成熟していないのが、業界全体の低迷に大きな影響を与えている」と評するのは情報システムに詳しい東京工業大学の飯島淳一教授だ。

「ユーザーである企業で、ITとビジネスの橋渡しをするはずのCIO担当を設置しているのは約半分。そのうち専任者を置いているのは10%にも満たないため、大部分の企業では結果的にシステム構築がSIerに丸投げされているのが現状です。しかもきちんとしたシステムの評価ができないから、人月単位で対価を払うことになる。一方、SIerは品質が成熟していないソフトウエアを導入し、そこでしかメンテナンスができないことで稼いでいる企業も多い。いわゆる負のスパイラルがあるわけで、これでは業界全体のレベルアップは難しい」と手厳しい。急激に成長した業界だけに、抱える問題の根は深いといえるのだ。

 今後、単なるITから、ICT(インフォメーション・コミュニケーション・テクノロジー)への進化が求められる中、情報サービス業界は、どうあるべきなのか。

「As-IsからTo-Beへ。つまり、ユーザーの本来あるべきビジネス・プロセスをきちんと理解して、そのために技術をどう活用してゴールに結びつけるか、というマネジメントを行うことが重要。ビジネスの出発点は顧客であり、自社のソフトやプラットフォームというユーザー本位の意識を持った企業しか生き残れなくなるでしょう。」。

 ユーザー企業の浮沈を担うまでに大きな役割を持った、情報サービス業界。さらなる発展のために、より多くの高い志を持った人材がプレイヤーとして参加することが望まれている。

求められる人物像

 大学等の情報系の教育をきちんと受けた人材が全体の6割しかいないのが業界の現状です。ITの知識はもちろんですが、それ以前にコンピュータシステムの原理を理解することも大切なはず。文系出身者ならば、この点の勉強は独学でするしかないかもしれません。また、技術面の知識だけでなくコミュニケーション能力も不可欠といえます。これらに加えて、企業や組織の仕組みや、個人と社会のかかわりといった人文社会科学系の見識を合わせ持つことも重要です。そして目の前の事象に左右されずに、ビジネスの本質を捉える想像力を持ち、全体を見渡した上でアーキテクチャを理解できることこそが、この業界で活躍するための素養といえるでしょう。

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