外食業界編

“中食”というライバルも登場し、日々業態やサービスが進化している外食産業。その分、さまざまな人材が必要とされている反面、人が集まらないという問題を抱えている。未経験でもやる気とアイデア次第で業界を飛び越えたインパクトを与えられる最も注目度の高い業界のひとつだ(取材・文 小林弘司)

業界マップ 外食産業編

業界動向

人の育成と環境整備が今後の成長の鍵

入江 直之氏

Profile
株式会社エス・エー・アール
フード事業部 フードプロネット
COO 
入江直之氏
(いりえ・なおゆき)

1958年生まれ。店舗プロデュース会社にて新店立ち上げや運営を手がけた後、店舗デザイン事務所、商業施設開発コンサルタント会社などを経て独立。個人経営および小規模チェーン企業の飲食店企画、運営、指導は多数。著書に『小さな飲食店の儲け方』(日本実業出版社)がある。

 景気の動向に影響を受けやすいといわれる外食産業。経済環境の低迷から、市場規模29兆円超を誇った1997年をピークに、7年連続の減少を記録してきた。しかし、景気の上昇機運から2005年は一転してプラスとなり、外食の市場規模は27兆円超へと回復の兆しを見せている。

 中でも近年、話題となっているお弁当や惣菜などの「中食」の健闘だ。同じ胃袋を奪い合うという意味で外食と区別されるこの市場の規模も6兆円を超え、1兆円程度の規模の「ファストフード」や「居酒屋」、「すし」、「そば・うどん」、「喫茶店」などのチェーンを大きく上回り、8兆円超の市場を持つファミリーレストランや牛丼・ラーメン・焼肉などの「食堂・レストラン」に迫る勢いを見せている。つまり外食業界は、中食というライバルの出現にも負けずに成長しているといえるのだ。

 「外食産業の好転は、景気の回復もありますが、店舗の多業態化も大きな要因といえます」と、飲食店へのコンサルティング活動を行うフードプロネットの代表・入江直之氏は指摘する。

「2000年頃、新たにカフェ・スタイルのお店が登場し、話題になりました。これは料理や価格、サービスの方法に独自性を持たせ、いわゆる店主の個性が前面に出ていたからです。画一的なサービス内容に嫌気が差した顧客にウケた結果といえるでしょう。こうしたアンチ・チェーン店のトレンドをチェーン店サイドが取り込み、さまざまな業態の店舗展開を図ったことで盛り返したといえるのです」

 事実、1社の持ち株会社が数十の業態を傘下にしているケースもある。とはいえ、日本マクドナルドの約4100億円を筆頭とする上位20社の売上を合わせても、市場全体の10%にも満たないほど裾野は広い。昔から独立しやすい業界として、「いずれは一国一城の主」を夢見る挑戦者は後を絶たない。だが、入江氏はこうした動向にも警鐘を鳴らす。

 「大手チェーンの他業種多店舗展開を可能にしているのがM&Aです。トレンドをいち早く取り込み、独自のサービスに昇華させることで差別化を可能にしているので、このスピードと資金力に太刀打ちできるだけのアイディアや体力がなければ、個人はもちろん、弱小チェーンは淘汰されてしまう可能性が高いでしょう」

 だが、チェーン店全盛になると、規模の拡大を目指した出店スピードに人の教育が追いつかず、マニュアルを作成し、通り一遍のサービスを提供することが多い。これではまた、金太郎飴式の画一的な店舗ばかりになってしまうのではないのだろうか。「もともと顧客が飲食店に行くのは、料理以上にその場の雰囲気を楽しみたいから。結局は対面でサービスを提供する“人”が重要なのです。これからは人の育成に注力することで差別化を図り、同時に、お客様だけではなく、働く者にも楽しみや喜びを提供できる企業が大きな発展を遂げていくと思います」

求められる人物像

 フード関連の業界に興味、関心を持ち、働きたいという人は数多くいるにもかかわらず、“外食企業を目指す人は減っている”、というアンバランスが起こっているのが外食産業の現状です。ですが、これからは人の個性が店の差別化のための大きな要因となる時代になるでしょう。外食企業側の雇用環境の問題もあると思いますが、人と接することが好きでサービスを提供し、感謝されることが喜こびと感じられる人にとっては面白い職場になるでしょう。自分の客を自分でつくるといったプライドを持って取り組める人が、事業にとって大きな価値を持つことは確実で、そうした人が増えればよりエキサイティングな業界に発展していくと思います。

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