陸運業界編

規制緩和、ガソリン代の高騰、駐車違反の取締り強化など、陸運業は激化する業者間の競争だけではなく、周りの状況も収益を圧迫。そんな中、倉庫業も含め、提案型の包括物流アウトソーシングである「3PL」の動きを各社が見せ、生き残りをかけている。海外進出なども盛んで、今激動の渦中にある業界の1つだ(取材・文 小林弘司)

業界マップ 陸運業界編(日本郵政公社 日本通運 、 ヤマトホールディングス、SGホールディングス、セイノーホールディングス、山九、日立物流、近鉄エクスプレス、福山通運、日新、センコー)

業界動向

3PLへの動き進み、業界の主役は荷主から業者へ

湯浅 和夫氏

Profile
株式会社湯浅コンサルティング
代表取締役社長 
湯浅和夫氏(ゆあさ・かずお)

1946年生まれ。71年に日通総合研究所に入社し、経営コンサルティング部長、常務取締役などを歴任。2004年に退職後、現社を設立し代表取締役社長となる。日本物流学会理事などを兼任。2000年「物流功労賞」を受賞しているほか、物流新時代の在庫管理ハンドブック(PHP研究所)著書多数。

 物流というと、生活になじみの深い宅配便などのC to Cビジネスをイメージする読者も多いだろう。だが、本来は原材料を港や空港から工場へ、さらに製品を物流センターや配送センターへと運送する、いわゆるB to Bが主流であることを忘れてはならない。また、全国のトラック事業者は60000社弱を数え、その多くが大手の傘下として事業を営む中小企業のウエイトが高い業界である。

 「物流業界ではいま、かつてないほどの大きなパラダイム・シフトが起こっています。そのきっかけとなったのが3PL(サードパーティー・ロジスティクス)です」と語るのは、物流ビジネスに精通する湯浅コンサルティング代表取締役の湯浅和夫氏だ。

 従来、運送業は、メーカーや小売業者が自ら作った拠点間の移動手段として使われる、下請け体質の強い業界であり、そのため価格競争や原油高などの影響が直接ダメージにつながる傾向が強かった。だが3PLは、荷主からのアウトソーサーとして、運送はもちろん、倉庫での管理業務や中間での加工業務までを一括で請負い、管理するロジスティックス・システムを自ら構築、そして提案しているのが特徴だ。荷主にすれば人件費や設備投資のコスト削減はもちろん、技術革新や情報収集などの手間が省け、自社のコア・ビジネスに資源を投入できる。一方3PL側は、システムの構築力で勝負できるため、収益性の向上が図れるなど、双方にメリットがある。

 「つまり、原材料から最終製品までというモノの流れを、従来の荷主主導から物流業者主体という本来あるべき姿にするものです。言い換えればドラスティックな主役の交代劇。陸運を中心とした物流業は、エキサイティングな業界に変わろうとしているのです。現在、運送会社を始めとする物流大手企業のほとんどが3PLへの移行を模索しているところで、2〜3年後には明確な市場が形成されるでしょう」

 この競争に勝ち残るために各社とも人材確保にしのぎを削っているのが現状だ。このほか、業績を拡大するために、大手企業では従来の欧米に加え、生産拠点の移転とともに中国をはじめとするアジア諸国への進出が活発化し、競争は激化している。

 「海運や空輸の事業者との提携や、新規市場開拓を目的とした陸運事業者同士の提携・M&Aといった戦略による総合物流業を目指した動きも最近では目に付くようになっています。その中でも日本郵政公社の民営化は業界再編成の目玉となる可能性があり、さらに大きな変化が起こることが予想されています。乗り遅れた業者が淘汰されていくことは間違いないところであり、これからの業界全体の展開が注目されています」

求められる人物像

 これまで、物流といえばいかに輸送コストを削減するかが競争力の源泉でした。しかし、3PLの出現により、これからはシステムの構築力や管理・運営能力に重点がおかれます。ですから、人材に対しても例えば生産管理のシステム構築や、情報収集のプロフェッショナルなどに期待が高まっています。また、広義で言えばシステム構築に必要な荷主企業の業務に精通した人材も重要でしょう。また、海外進出も踏まえて、語学力などもあれば有利でしょうね。

 

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