食品業界編

駒澤大学仏教学部禅学課卒業。1988年の入社以来、食品、農業、食品原料と一貫して食品関連のマーケティングを担当。アグリビジネスなども含め、食品業界に関する知識は幅広く、その分析眼には定評がある。

業界マップ 食品業界編

業界動向

「弱者が強者を喰らう」伝統業界の大きな可能性

田中 秀典

Profile
株式会社富士経済
東京マーケティング本部
第一事業部 参事
田中 秀典氏
(たなか・ひでのり)

駒澤大学仏教学部禅学課卒業。1988年の入社以来、食品、農業、食品原料と一貫して食品関連のマーケティングを担当。アグリビジネスなども含め、食品業界に関する知識は幅広く、その分析眼には定評がある。

 デフレと少子高齢化、人口減少の煽りを受けて、食品加工業と食品小売業の売上が揃って減少に転じ、最近では就業人口も年間2万人近く減った。だが、「統計的には見えにくいですが、大企業だけでなく、中小企業にも元気な企業はいっぱいあり、一見すると非常に古い伝統産業ながら、業界を広く俯瞰すると、いたるところで活性化しているのが食品業界の特徴」と言い切るのは富士経済の田中秀典氏だ。実際に、現在もまったく無名ながら、地味な分野で革新的な試みに成功したり、地域名産や特産を活かして元気な企業が成長を続けており、流通業者も目が離せない状態が続いている。

 「確かに、一般的なセオリーとして、消費財ではブランド力が死活的に重要ですが、食品産業では、飲食店向けの業務用や、惣菜店などのバックヤード食材、加工食品向け中間原料など、かえって消費者から見えないところ、あるいは大企業が手を出さないところに高収益で高成長な領域が潜んでいて、成長路線に乗って2桁成長、2桁利益を実現している企業も、決して少なくありません」

 つまり、サクセス・ストーリーは、一部の大企業や、過去10年、5年で新規に上場した外食産業や惣菜産業のスター経営者だけのものではないということだ。その背景として、低温輸送技術と定温物流網の飛躍的躍進や、ネット通販によるBtoCの普及など、産業基盤の発展が場所と規模の制約を解放し、食品産業で弱者が強者を喰う構造を促している。

 食品産業が大企業でも中小企業でも元気でいられる秘密は、「企業が、消費者やユーザー企業とダイレクトにあるいは流通を介して双方向のコミュニケーションを維持し続けてきたことにある」と田中氏は語る。そのために、市場ニーズをメニューや製品としてタイムリーに反映させやすく、製造技術や原料などのシーズ(種)もマーケット側の反応を見ながら発展させることが可能となっている。

 「さらに、小売業や中間流通業や物流業などの周辺産業が、いち早く猛烈な資本の集約化を図り、ITや高度物流システムなどによって、産業の高度化を果たしてくれたことも大きい。おかげで、食品産業自身が労働集約型でも地方立地であっても、等しくその恩恵に預かることができるようになりました。結果的に、大手企業が扱う既存ブランドに対しても、差別化ができるような原料調達力や加工技術、あるいは、アイデアや商品企画力、マーケティング力次第で成功できるなど、“弱者が強者の市場を侵食できる業界”というのが特筆すべき点でしょう」

 一方、海外収益が連結利益を支える食品企業も出てきている。これまでは海外を安価な生産拠点としか位置づけていなかった企業が、海外市場へ本格的に参入し始めているのだ。

 「地方の食品産業が元気になれば、地方経済活性化のコアとして期待がもてます。これからは、大手も中小も和食の国際化に乗じた国際市場への進出が大きなテーマになるでしょう」

 少子高齢化の影響で国内人口の拡大はあまり期待できない。国外マーケットを視野に入れた企業戦略を持つことが、大企業の発展の鍵となることは間違いないだろう。

求められる人物像

 主婦層をメインターゲットとする業界だけに、女性の労働力に対する期待値が高いのが特徴です。女性の管理職も多く、性別による待遇面の差が極めて少ないといえるでしょう。職種としては商品の企画・開発や営業はもちろん、他の業界に比べてIT化が遅れているだけにシステム系の人材にも活躍の場が十分にあります。総じて求められているのは、一言で言えば“元気な人”。人付き合いが好きで、アイディアが豊富。プレゼン能力にも長けた、積極的な人材には、広く門戸が開かれています。また、今後の海外進出を睨んで、大手では国際化に対応できる人材の確保が盛んになると予想されています。

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