プロジェクトを成功へ導くには強い意思が不可欠

現在、山崎氏はERP導入のプロジェクトに携わっているが、理想のプロマネには出会っていない。今まで成功してきたプロジェクトのイメージからすると、それは人として優しすぎるからだという。

「プロマネの仕事にはメリハリが必要。メンバーに対しても顧客に対しても、時には厳しいことを言うべきだと思う。現職場のプロマネは、私の理想像からカケ離れていますね。優秀なプロマネは、メンバーに言うことを言うけれども、顧客ともきっちりネゴシエイトしてくれた。メンバーが徹夜してモチベーションが下がっている状況を見ると、『あと1カ月我慢したらお前も楽になるから』とサラッと言う気配りもあった。要するに、部下の心を掴むのがうまい。プロジェクトでは、モチベーションとか雰囲気というのが生産性に大きく影響します。その点、現職場のプロマネは、上に立つにはちょっと甘すぎるのでは……と思います。私1人でその人間に噛み付いて、悪者になっている状態です(笑)」

プロマネはしばしば、スポーツの監督に例えられる。成果を挙げた監督には、皆共通して誰にも負けない情熱や、細かい気配りがある。

「元阪神タイガースの星野監督はすごく厳しいけど、選手の奥さんの誕生日には花束をあげるような気配りをしていたと聞きます。勝つことを選手に教えるのが監督だとすれば、プロマネも、そのプロジェクトを絶対に成功させるという強い意思を全員に浸透させるような“オーラ”を出さないとダメでしょうね」

リターンは少ないのにリスクは激高!

ERP導入のプロジェクトを担当するようになってからは、優秀なプロマネに立ち会ったことがないと嘆く山崎氏。その要因には、プロマネの仕事自体に魅力がなくなってきていることがあるようだ。

「プロマネの仕事はどんどん大変になっています。私の周囲で見ると、納期・予算の範囲内でプロジェクトを成功させるのはすごく大変になっているのに、うまくいって当たり前の評価しかしてもらえない。失敗すれば責任を取らされる。リターンは少ないのにリスクだけ高く、いくら頑張っても報酬面で報われない。それが今のプロマネの置かれた環境なのではないか……という印象を持ってしまいます。リーダークラスもマネジャーたちも、その様子を見ていれば、昔みたいにプロマネに憧れる人は少なくなってしまうのではないでしょうか」

一体、プロマネに何が起こっているのか。次回は、なぜそれほどまでにプロマネが厳しい立場に追い込まれているのか、その実態を探っていく。

山崎慎一氏(仮名・35歳)

大学卒業後、大手SIerで5年間ビジネスアプリケーションなどのシステム設計や開発を行う。その後、大手パッケージベンダにてERP導入のコンサルティングに携わり、現在はメーカー系システム会社でITコンサルタントを務める。開発、要件定義からプリセールスまで手掛け、業務知識も豊富なヤリ手のコンサルタント

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