英語力アップの“特効薬”は存在するのか?(2/2)

世にあふれる“魔法”の教材

最近、広告などで“英語耳”という言葉をよく目にする。英語が聞けないのは、長年、日本語を聞き慣れた「耳」が原因だから、まずはこの「耳」を、特殊な音声を聞くことなどによって、英語耳に変えることが必要だという。

確かに、日本人が英語を聞き取れないのは、耳が日本語に慣れきっていることは一因として挙げられるだろう。これは、歳をとればとるほど、英語の習得が難しくなることからも推察できる。しかし、「仮に何らかの方法でその英語耳とやらになったとしても、それだけで英語が理解できるようになるわけではない」と篠崎氏は断言する。

疑問5 “英語耳”になれば英語は理解できる?

そもそも「英語を聞き取る」ということは、何を意味するのだろうか。

「英語を聞き取るということは、会話のスピードで英語を理解すること。それには、英語を英語の語順通りに理解する能力が不可欠です」(五十嵐氏)

日本の英語教育では、“英文解釈”と称して、英文を文法的に分析し、各語の修飾関係を考えながら、日本語に訳させるというスタイルをとることが多い。こういった勉強法は、英語の構造を理解するためにはそれなりに有益なのだが、常に日本語に訳さなければ意味をとらえられなくなり、英語を理解するスピードが著しく遅くなるという弊害がある。

「会話では、一瞬のうちに英語が耳を通り抜けて行きます。日本語に翻訳して考える暇はありません。考えているうちに、話し手は次の会話をしゃべり始めます。そうなるともうパニック状態で、相手の言っていることがチンプンカンプンになります」(五十嵐氏)

こういう事態を避けるには、前述のように、英語を英語の語順のまま、すなわち日本語に翻訳することなく理解するクセを付けるしかない。では、この能力はどうやって身に付ければいいのだろうか? “英語耳”を手に入れれば、自然に英語が頭に入るようになるのだろうか?答えはNOだ。

「帰国子女以外の人がこの能力を身に付けようと思えば、たくさん英文を読んで、英語を頭から語順通りに理解するクセを付けるしかありません」(篠崎氏)

短い英語ならだいたい聞けるようになってきたけど、CNNニュースとなるとどうしても聞き取れないという人は多い。こういう人は、英語耳を持っているかどうかではなく、そもそも英文読解力が不足していることが原因であることが多い。リスニングと読解というと、一見全くの別物に見えるが、実は深い関連性があるのだ。

日本語の場合でも、自分が詳しい分野についてのニュースなら内容が理解できるように、CNNニュースなどについても、自分がそのニュースについての知識を持っているかどうかで、理解度は大きく異なってくる。もし全くの畑違いのトピックであれば、「英語上級者でも、何を言っているのか良く理解できないことはある」(篠崎氏)という。

従って、仮に、難しいテーマのCNNニュースを聞いて何を言っているか分からなかったとしても、「俺のリスニング力は何て貧弱なんだ」などと自信喪失する必要は全くない。そんな難しいものは、誰もが理解できるわけではないのだ。英語学習に“焦り”は禁物なのである。

“特効薬”に飛びつくよりも地道な勉強

“特効薬”と称するものは、得てしてまゆつばモノであることが少なくない。人の常として、目の前の壁が高いと、安易な方法を選択しがち。しかし、英語の勉強は、思ったよりずっと地道なものであると心得たい。使える英語を身に付けるためには、こうした地道な努力の上に、さらに実践での訓練が必要になってくる。次回はこの点について説明しよう。

英語学習のポイント

  • 英語を語順通りに理解できれば会話能力も磨かれる
  • 英語表現を学んだらスグに“実戦”で活用する
  • “特効薬”は、まゆつばモノが多いので要注意!

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