ボキャブラリーを効果的に増やす方法とは?(1/2)

「英語力を上げるにはキーワードを読み取ること」とよく言われるが、そのためには、多くのボキャブラリーが必要になる。文法も文字も違う日本語と英語の世界で、ボキャブラリーを効率よく増やす方法は果たしてあるのだろうか……

取材・文 / 中村京介

「ボキャブラリー」が貧弱だと読解力も伸びない

前回、リスニング力向上のためには読解力の向上が不可欠であることを説明した。この読解力向上と密接な関係にあるのが「ボキャブラリー」だ。

ボキャブラリーがあまりに貧弱だと、読書という行為そのものが苦痛になってくる。しかし、日本人にとって、ボキャブラリーの強化は最も苦労する作業の1つであり、悩まされている人もいることだろう。そこで今回は、どうやれば最も効果的にボキャブラリーを増やせるのかということから話を進めよう。

疑問6 ボキャブラリーを増やすには、単語集の丸暗記が効果的?

ある程度英語を真面目に勉強した経験を持つ人なら、英語力アップのために「ボキャブラリーの強化が重要である」ことを理解してくれるはずだ。

「リスニングやリーディングの際、文章の文法的な構造はつかめていても、カギとなる単語の意味を知らないために、全体の意味をつかめないことがある」と五十嵐氏は指摘する。よく、「わからない単語の意味は文脈から想像すればよい」と言われる。これは事実だが、あくまで程度の問題だ。わからない単語だらけでは、想像のしようもないからだ。

では、どうやれば効果的にボキャブラリーを増やせるのだろうか。

なぜヨーロッパ人は 英語をすぐマスターできるのか?

効果的にボキャブラリーを増やす方法を考える前に、まず前提条件として確認しておきたいのが、一般の日本人にとって、英単語は“無味乾燥”なものだということだ。言うまでもなく、日本語の単語とそれに対応する英単語とは何の関連もない。一方、フランス語やドイツ語と英語の単語は、似通った部分が少なくない。

やはり同じアルファベットを使う言語同士、共通点は多いのだ。篠崎氏の友人のフランス人は、「英語を勉強し始めてからまだ1年半程度だというのに、リーディングのスピードはものすごく早いし、ネイティブとの会話もほぼ完璧」だという。

その友人に「ニュース番組のキャスターのように綺麗な発音なら、100%聞き取れるよ」と言われた篠崎氏は、一時「自分の英語力の伸びが遅いことにコンプレックスを持った」という。

しかし、これは、決してそのフランス人が特殊な能力をもっているからでも、篠崎氏の言語習得能力が劣っているからでもない。あくまで、英語と彼らヨーロッパ人の言語の共通性によるところが大きい。

例えば、英語を中国語に置き換えて考えてみればよくわかる。漢字を使う中国語の学習能力は、欧米人よりも日本人の方がはるかに高いはずだ。漢字を見るだけで、何となく意味を想像できるものも多い。事実、「中国人留学生とは漢字でほぼ完璧にコミュニケーションできた」と、五十嵐氏は留学体験を振り返る。

「MBA のグループワークで中国人と同じチームになった時、たまに私の発音のせいで英語が通じないことがありました。こういう時は、決まって漢字で筆談をしていましたね。例えば、『(従業員の)モチベーションが下がる』というのを『無気力』と書いたり。これが面白いほど通じる。お互い楽しくなっていろいろな漢字を書いて遊んでいました。中国語をしっかり勉強してみようかと、真剣に考えました(笑)」(五十嵐氏)

要するに、日本人が英語のボキャブラリーを上げるためには、無味乾燥な英単語を記憶しやすいようにする何らかの“工夫”が必要になるということだ。従って、「ただ英単語の意味と発音が書いてあるだけの単語集は、あまり効率的な学習ツールとはいえない」(篠崎氏)と言っていい。

「世の中には、単語集の類がたくさん出版されていますが、『記憶』という観点からは、ほとんどのものは役に立ちませんでしたね。確かに、サッと目を通すだけで意味を確認できる点では便利なのですが、何度単語を覚えてもすぐ忘れてしまう。あるいは、『どこかで見たことがある単語だな』と思い出すだけで、正確な意味が言えなかったりする。ましてや、実際の会話の中で使えるレベルにはまったく到達しませんでしたね」(篠崎氏)

五十嵐徹夫氏
(仮名・38歳)
現在、ITベンチャーで役員を務める。30代後半で欧州の有名大学のMBAを取得。35歳をすぎてから英語学習を始めた経験から、「英語が苦手な人の立場に立って、勉強方法のアドバイスをしたい」と話す
篠崎亮氏
(仮名・34歳)
友人と設立したITベンチャーでは社内システムを担当。現在は大手ITベンチャーの事業企画部シニアマネジャーを務める。かつて国内メーカーで子会社事業の再生を担当した経験、さらに米国へのMBA留学経験から、ITのみならずマネジメント知識も豊富という貴重な人材

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