ハイエッジ 第二回 中村 憲剛ハイエッジ 第二回 中村 憲剛

意見の“衝突”がチームを強くする

周りの意見を聞きながら、自分で納得のいくプレースタイルを貫いていきたいです
周りの意見を聞きながら、自分で納得のいくプレースタイルを貫いていきたいです

 プロになってからの転機は、ポジションが変わったことです。大学時代からずっとトップ下をやってきたし、プロ2年目もトップ下で勝負しようと思っていたので、キャンプで監督に「ボランチをやらないか?」言われたときは驚いたし、正直、ちょっと残念な気持ちもありました。ただ、それよりも、どのポジションでもいいから試合に出たい気持ちの方が強かったので、監督の指示を受け入れ、すぐボランチの練習に取りかかりました。

 ボランチはトップ下とはポジショニングも違うし、攻撃も守備も両方やらなくてはいけないので、運動量が予想以上に多い。これにはビックリしましたね。トップ下もボランチも両方とも面白いポジションですが、最近は「ボランチの方が向いているのかな」という気もしています。周りの選手を生き生きとプレーさせる役割は、ボランチの方が大きく、この要素は、僕が考えるサッカーを表現していけることにもつながります。

 周りの選手のことを考えるといっても、彼らに合わせて自分のプレースタイルを変えることはありません。いいプレーをするためには、周りの選手に影響されたり惑わされたりせず、自分の思い通りにプレーすることも必要。だから、味方の選手から「ボールをよこせ」と声がかかっても、それが自分の考えと違っていて、納得いかなければ、渡さないときがあってもいいと考えてます。

 お互い納得できないところは、本気で言い合わなければ、お互いの良いところを引き出すことはできないし、チームも強くなりません。川崎フロンターレでは、試合中にメンバー同士が熱くなって、言い合いや怒鳴り合いになることもありますよ。互いが考えをぶつけ合い、緊張感をもってプレーすることで、チームが締まっていくのが実感できるんです。かといって、それを試合後に引きずることはありません。

 その点、日本代表のチームでは、まだまだ自分の考えを伝えきれていないんです。これからは代表でも、自分の良いところを出していきたいし、他の選手の良いところも引き出したいですね。

『トップ下』
サッカーのポジションの一つ。センターフォワードの選手のすぐ後ろに位置し、パスを出したりシュートを撃ったりして積極的に攻撃に加わるミッド・フィルダーのこと。

『ボランチ』
ブラジルでのみ使われるポルトガル語の用法のひとつが日本に輸入されたサッカーのポジションを表す言葉。日本でボランチという場合は、ミッドフィールド後方のポジションで守備の役割を果たすミッド・フィールダーを指す。

文:中村京介
撮影:岩谷 薫

中村憲剛 プロフィール

■プロフィール
6歳からサッカーを始める。東京都立久留米高等学校から中央大学に進学。大学時代は関東リーグ2部降格の屈辱も味わったが、主将として臨んだ最終学年時に2部で優勝し、1部復帰を果たした。2003年に川崎フロンターレへ入団し、シーズン開幕戦のサンフレッチェ広島戦でデビュー。入団当初は攻撃的なミッドフィルダーだったが、2004年に監督の提案でボランチへコンバートされて以来、チームの攻守の要として活躍している。日本代表に就任したオシム監督のもと、日本代表メンバーに初選出され、2006年10月にガーナ戦で初出場を果たし、インド戦で代表初ゴールを記録した。


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