ハイエッジ 第五回 所英男ハイエッジ 第五回 所英男

「HERO’S 2005」で人生が変わった

所英男
勝ち続けたいけど、自分より強い人はいくらでもいる。人生は「勝ったり負けたり」なのかな(笑)

 プロになって初めて勝ったのは、「プレミアムチャレンジ」という大会です。ただ、僕自身のやりたい試合ができなかったし、結果も微妙な判定勝ちだったので、スッキリしませんでしたね。

 僕が理想としているのは、お互いの良い面が出て、「攻」と「防」の両方がある試合。激しい試合になるとケガをすることは多いが、それでも、試合中は動き回って、最後に一本勝ちすることにこだわりたい。実際は、全然動けずこうちゃく状態になって、納得できない試合が多いんですが……。

 僕にとって本当の意味で転機になったのは、「HERO’S2005」のノゲイラ戦です。強い相手でしたし、負けて元々だったので、ただ「思い切ってやろう」と試合に臨みました。驚いたのは試合後。それまでも強い人と試合をしたことはあったのですが、テレビで大々的に出たことはなかったんです。友達にも親にさえも、この大会に出ることは言っていなかったので、試合が終わった後は、メールや電話がすごかった。人生が変わった感じでしたね。

 でも、ノゲイラ戦でたまたま得たチャンスを生かすことはできましたが、そこで勝てたからといって、自分が強くなったとは思っていません。実際、その直後の試合では負けてましたし。もちろん、自分は勝ち続けたいですけど、強い人はたくさんいます。勝ったり負けたりというのは仕方ないのかな……。今後は、“安定した強さ”を身につけるのが課題でしょうね。


「引退」が頭によぎった試合

所英男
「激しく戦って、最後に勝つ」という試合が出来れば理想なんですが……

 負けたことで、一度だけ「引退しよう」と思った試合があります。中原太陽(※2)戦です。5年ほど前、デビューして2、3年目の中原選手と試合をしたのですが、自分の中では「勝てるだろう」と思っていたのに、実際は、ケチョンケチョンにやられました。判定のない試合だったので結果はドロー。でも、僕とタイプが似ている選手だけに、自分の存在意義に危機感を持ったし、すごく落ち込みましたね。

 幸い、次の対戦では「腕十字」でKO勝ちすることができましたが、あれで負けていたら今の僕はなかった。その後、修斗(※3)の元チャンピオンの大石“JACKAL”真丈選手に勝てたのも、あの中原戦があったから。今は、自分が戦える限り長く続けたいと思っています。

※2 中原太陽:東京都出身の総合格闘家。和術慧舟會GODS所属。レスリングがバックボーンだが、柔術家並みの足の使い方をする。「超期待の新星」と呼ばれ、その実力は宇野薫が太鼓判を押したほど。日本人として初めてアマチュア修斗の経験無しでプロライセンスを獲得した。

※3 修斗:初代タイガーマスクとして知られる佐山聡が1984年に創始した、「打」「投」「極」の三位一体を目標とする総合格闘技。


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