プレゼン、面接、会議……
強いキャリアを創るためのホンネ対談
おちまさとプロデュース「偉人伝心」
〜あなたのシゴトに効く! プロフェッショナル仕事術〜

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メディアという枠を超えて活躍するプロデューサーのおちまさと氏が、“偉人”と認めている方に会いに行き、技を“伝心”してもらう。記念すべき第1回目は、「打率10割の男」として、クイズやバラエティ番組で常に高視聴率をタタき出す日本テレビ・執行役員の五味一男氏が登場! 「視聴率男」同士がヒットにつなげるための仕事術を熱く語る!

ヒットメーカーの共通項

おちまさと(以下、おち)

この世界って野球の打率と一緒で、普通3割5分当たれば「あいつはスゴイ」ってなりますけど、五味さんは10割打者じゃないですか。20年ずっと見てきていますけど、本当に外さないですよね。

五味一男(以下、五味)

僕が大事にしているのはイメージです。「こんな企画をこんなインフラでやったらこうなるだろうな」ということを、何歩先まで読めるかという「イメージ力」が一番大きいと思います。長年やっているうちに、すごく先まで読む力が磨かれてくる。逆に、僕たちの仕事はその力が全てなのかも。

おち

経験の蓄積から生まれるものも当然ありますけど、五味さんの場合はCMをやられてから日本テレビに転職したじゃないですか。CMからテレビを作る側に来て戸惑いはなかったんですか?

五味

戸惑いはすごくあったけど、何も知らなかった分、「研究しなくては」という気持ちが強かったんです。クイズ番組を任されたはいいけど、当時の人気番組だった『なるほど!ザ・ワールド』(※1)とか『世界まるごとHOWマッチ』(※2)がどうしてウケているのかが分からなかった。そこで、当時放送していたクイズ番組を20番組近く分析して、“ヒットの法則”みたいなものをロジックで解析していったんですよ。感覚的なもので理解したわけじゃないんです。

おち

AD(アシスタントディレクター)もやったんですか?

五味

転職して最初の10カ月はCM制作部。広告業界にいたせいか、オリエンの技術が高かったみたいで、電通とか博報堂とかでプレゼンしても、必ず勝つわけ。それで配属2週間目にいきなりチーフディレクターになって、10カ月後に当時の芸能局(※3)に異動しました。そこから2カ月くらいはAD。

おち

でも、五味さんが編集するタイミングの方が良かったり?

五味

そうかもしれない。ADになった初日に、「あそこをこうした方がいいんじゃないですか」とか、いきなり意見を言っていましたからね。超生意気と思われてた。学生時代に君塚良一君(※4)とかと映画を撮ったりしていたので映像に関しては自信があったんですよ。

おち

いじめられたりとかしなかったですか? せっかく才能があるのに、いじめられて消えていく人もいるじゃないですか。

五味

僕の場合、「そこまで言うのは立派じゃん」ってかわいがってくれる先輩がいたので良かったですね。

おち

そして『クイズ世界はSHOW by ショーバイ!!』(※5)や『マジカル頭脳パワー!!』(※6)などとヒットを連発して今や執行役員。ものすごいキャリアアップですよね。

五味

執行役員って、もうサラリーマンではなくて経営者側ですからね。今は採用にも関わっていますよ。

おち

デキる人、デキない人の見分け方ってあるんですか。

五味

1つ分かったのは「振り幅の大きさ」。例えば年少期に、王道的なものからすごくマニアックものまで興味があったタイプの人は将来化ける可能性がある。「引き出しの多さ」とも言えますが、振り幅が広い人は、いろいろなところからアグレッシブに情報を取りに行く習性があるんだと思う。好奇心が本能的に備わっているっていうのかな。こういうことを若い頃からやっていた人は、将来的に伸びる可能性がすごく高い。

おち

僕は放送作家って将来なくなる職種だと思っているんですけど。ディレクターとかプロデューサーが自分で企画をやる人も多いし、書記ならADができるし。

五味

でも今、放送作家志望は多いですよ。今のテレビって作り手に“ドリーム感”がなくなっていると思うんです。だからテレビを目指す人にドリーム感を与えることができない。今、僕が思いつくテレビ業界でドリーム感を与えられる人といえば、秋元康、小山薫堂、おちまさと。みんな放送作家出身なんですよ。放送作家志望が多いのは、一言で言えば“鉄板病”(※7)……、じゃないかな(笑)。

※1 1981年10月〜1996年3月までフジテレビ系列で放送された紀行情報クイズ番組。海外レポートクイズ番組の成功例として、その後の番組に影響を与えた

※2 1983年4月〜1990年4月までTBS系列で放送された海外情報クイズ番組。世界各地のモノやサービスをVTRで見ながら、その価格を現地通貨で答える

※3 現在の名称は制作局

※4 脚本家、映画監督、放送作家。『踊る大捜査線』『世にも奇妙な物語』などヒットドラマや映画などを数多く手がける

※5 1988年10月〜1996年9月まで日本テレビ系列で放送された世界の「商売」を題材にしたクイズ番組。「さぁ、みんなで考えよ〜!」「何を作ってるんでしょ〜か!」などの名言も生まれた。最高視聴率26.9%

※6 1990年10月〜1999年9月まで日本テレビ系列で放送された頭のやわらかさを競うクイズ番組。全部で252種類のクイズやゲームが開発され、そのほとんどに五味が関わった。最高視聴率31.6%

※7 2007年9月に発売されたおちまさと著の書籍のタイトル。「いつでも多数派にいたい」「絶対に間違えたくない」「常に勝ちたい」という一億総確実主義の現在の日本社会を憂う意味を持つ

PROFILE『Tokyo Ochimasato Land』

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