告白シリーズ 採用の裏側を現役担当者がバッサリ!

人事マネジャーの告白 IT人材がキャリアアップできる会社とは?(1/2)

大企業への転職がキャリアアップと考えている人は多い。だが、その“常識”について、上場Eコマース企業の人事マネジャーは警鐘を鳴らす。IT業界で、社員のキャリアデザインを真に受け止め、IT人材が本当にキャリアを積める環境、キャリアアップを果たせる会社とはどういうものか。1人当たりの年商が1億円を越える成長著しいEコマース企業編も、とうとう最終回!

半年に一度の人事面談で社員の“ホンネ”を探る

時折、経営陣の立場として「辞めてほしいな」と思う人がいます。でも、そういう人は、こちらから何も言わなくても、自然と自分から辞めていくものです。

ウチでは半年に一度、社員は目標管理シートを書きます。自分が半年間やってきたことを振り返るなかで、「目標を達成できたのか、できなかったのか」を認識できるようにしてもらうためです。本当に何らか実績を残していなければ、文字に落とすのは難しいですから。

なかには、面談時に目標管理シートに眺めているうちに次第に悶々としてきて、「自分は友人から誘われているので、そっちに転職したい」と言い出したりする人もいますね。社員の“ホンネ”を知るには、いい機会だと思います。「こいつは会社を辞めたがっているのかな?」とか、察することができるので、それによって対応策を講じることもできますからね。

大企業だからといって安易に転職するべきではない

自分を生かせる職場か、自分を殺して周りに気を遣う職場か。キャリアアップする際のポイントにしたい

弊社は一応上場企業ですが、大きいメーカーさんと比べれば規模は中小企業に過ぎません。ウチを辞めて自信満々で大企業に移ろうという人もいますが、大企業に中途で入る大変さというものを彼らがわかっているのか、心配になります。私自身、大手メーカーで長い間働いていましたので、その大変さはよくわかっているつもりです。

ウチの会社にいれば技術だけに集中できますが、大企業では、例えばプレゼンテーション1つとっても、膨大な数の部署に1つひとつ丁寧に説明する能力が求められます。ウチのような小さい会社で求められる説明能力とは、まったくレベルが違うわけです。

ウチの社長もよく言いますが、この規模だからこそ自由にやれていることが、たくさんあるんです。エンジニアとしてどっちが幸せかといったら、絶対に大企業よりもウチでしょう。「大企業だから」という理由だけで転職するのは、実はリスキーだと思っています。

人によって向いている仕事は異なる

ウチの会社は、基本的に辞めたがっている人を引き止めないと言いましたが、過去に1人だけ引き止めたことがあります。彼は当時次長で、ウチの会社で年間MVPをとったこともある優秀な人材ですが、MVPをとった直後に「会社を辞めたい」と言い出したんですね。

「一体どうしてなんだ?」という驚きとともに、優秀な人間なので、どうしても辞めてほしくなかったのです。その時は必死に引き止めました。

彼に辞める理由を聞くと、「親戚の手伝いで、スモール・ビジネスをやろうとしている」ということでした。それで私が「本当にやりたい仕事なの?」と聞いていくと、「実は今の仕事がしんどいので、少しスロー・ダウンしたい」という本音が出てきたんです。

彼がキツイと感じていたのは、エンジニアとしての仕事よりも、むしろマネジメントの部分でした。当時、彼には10人以上の部下のケアを任せていましたから。そこで、「もっと開発に専念したいのであれば、その気持ちは配慮するから考え直してほしい」と説得し、何とか退職を思い止まらせました。

この次長のケースで学んだのは、その人に向いていないことを無理強いするのはよくないということです。それで優秀な人材を失ってしまったら、会社としても損な話ですから。

金融系Eコマース企業
人事部長 清水和弘氏(仮名・34歳)
SIerのSEだったが、2000年、知人が自社独自開発のシステムを武器とする金融系ECサイトの立ち上げに参画。設立メンバーの1人として、開発から採用まですべてをこなす。2004年の上場をきっかけに人事部長に。会社に対する熱い想いだけではなく、技術者や開発者の気持ちが分かる人事として、同社になくてはならない存在として活躍している

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