自分探しの自己演出講座

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第10回 徹底的にやれることを「決める」

前回のコラムで、目標は必ずしも自己分析すれば発見できるわけではないということを書きました。また、その場合にははじめの一歩として、日々の生活で疑問に感じたこと、不満に思ったこと、「こうなったらいいのになぁ」と思う問題意識を周囲に向けて発信してみてください、と書きました。これを今回はもう少し具体的に、日常レベルのやりとりで考えてみましょう。

●会社ではなく個人として会話しよう

異業種交流会等で初対面の人と名刺交換すると、個人名ではなく、社名を先に読み上げる人が実に多いことに気づきます。そんな人に限って、こちらが相手の名前を読み上げて、「○○さんは、どんな仕事をされているんですか?」と聞いても、「うちは◇◇を扱っている商社なんですよ」とか「広告代理店です。人数が少ないので何でもやってます」などと、会社の紹介しかしない人がほとんどです。

もしあなたが、知らず知らずのうちに、こんな風に会社を中心とした話ばかりしているとしたら要注意です。あなた自身が、自分という個性を持った人間として判断されないで、会社の立場だけで人間関係を構築している危険性がかなり高いと言えます。

私は今こんな仕事に取り組んでます、こんなこだわりを持っています、こんな趣味があります、休みの日はこんなことをしています、こんな壁に突き当たっています、なんてふうに個人の話が少しでもあれば、それをとっかかりに広がる話もあります。ところが、会社の紹介だけだと、取引きがある関係でもなければ、「知り合いが勤めている」とか「御社の製品はよく使ってますよ」くらいの話にしかなりません。 です。

人は与えられた情報を元に判断をして、人間関係を築いたり、日々のやり取りをしています。だとしたら、会社の紹介しかされないで、次の日に「昨日はどうも、今後ともよろしく」というメールを受け取っても、その会社と接点がなければ、「よろしく」という関係はできませんよね。

●何かを徹底的にやる

ただ、つい会社の話をしてしまうのは、実は発信できるような「個人」のネタが自分にないのかもしれません。そんな場合はどうするかというと、探すのではなく、意識して「つくる」のです。

何か問題意識を感じることがあれば、そのテーマにしばらくとことんハマってみることが1つの方法です。行動しないと何も変わりませんから、とにかくやってみる。他のことは忘れて、徹底的に追求してみるのです。

会社の仕事に関係があってもなくても結構です。仕事でプレゼンがうまくいかなかったら、プレゼンの本を見つけられるだけ買いこんで勉強し、プレゼン研修に行ってうまくなる。ラーメンが気になりだしたら毎日ラーメンを食べ歩く。本を読んで感動したら、その著者の本を全て読んで手紙を書いて会いに行く。彼・彼女がほしいというなら毎晩合コンの予定をつくって実行する。

何かを決めて徹底的にやってみると、話のネタはいくらでもつくることができます。どんどん細かいところが見えてくるからです。また、みんなが知らないネタにたくさんアクセスできます。そして、いろんな人にそんな話をしていると、勝手に情報が集まってくるようになるのです。

テーマが決められないよ、とあなたは言うかもしれません。ぜひ気楽に考えてください。毎日続けていても飽きないもの、細かいところまで気になること、嫌いになりそうにないもの、気持ちが憂鬱にならないものを見つけて、「順番に」1つずつハマってみることです。

そう言う私の場合は「人」がテーマでした。もともと人の言葉遣いや口癖、メールの書き方、人の表情の細かいところに気になることが多かったし、人と話をするのが好きでした。それで気がついたら、コミュニケーションをテーマに仕事をするようになっていたのです。

そんな感じで、続けられるテーマに出会ったら、そのまま追い続ければいいし、イヤになったら次のテーマに移ればいいのです。ちょうど記者になった気持ちで、1つのテーマを調べて記事にまとめていくような感じかもしれません。

何かを徹底的にやってみて、そこで見えてきた話をしていれば、いつの間にか会社の名前ではなく、自分の名前で人間関係が構築されてくることに気づくはずです。つまり話す内容を変えれば、人間関係まで変わってくるのです。

プロフィール

鶴野充茂氏
鶴野充茂(つるの みつしげ)ビーンスター株式会社 代表取締役

blog : http://www.kohoman.com/blog
メルマガ : http://www.mag2.com/m/0000023445.htm

大阪府堺市出身。筑波大学(心理学)、米コロンビア大学院(国際広報)卒業。
外務省在外公館派遣員として在英国日本大使館で要人接遇という「対人コミュニケーション」業務、国連機関や米系PR会社、メーカーで広報という「コーポレート・コミュニケーション」業務、そしてライセンスや提携アライアンスという「企業間コミュニケーション」業務など一貫して「コミュニケーション」をテーマに経験を積み、2005年2月に独立。
効果的な情報発信をコアにしたコミュニケーション技術を教えている。著書に、「転職を考え始めたら読む本」(全日出版)「できる社員は要領がいい」(DART)「つるの式仕事術」(IEC)などがある。

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