
前回までは、「目標」について考えてきましたが、今回から3回にわたって、
「強み」について考えてみたいと思います。
自分に自信が持てない人の悩みを聞いてみると、その多くは「自分の強みがよ
く分からない」と言います。実に多くの人がこの「強み探し」の迷宮で、さま
よい続けているのです。もし、あなたもその一人だとしたら、ぜひ次のように
考えるようにしてください。
強みが見つけられなければ、新たに作ればいいのだ、と。
●繰り返しが強みを作る
このコラムの第2回に少し書いたことですが、とても大切なので繰り返します。
未経験のことが自分の強みになることはありません。好きで繰り返したり、褒
められてその気になって繰り返したりすることで、「強み」は育てられていく
のです。
しかし、もし本当にそうだとしたら、「強み」にしたいことを繰り返して経験
すれば、それがそのうち現実の「強み」になる可能性が高い、という事になり
ますよね。
じゃあ、そこで次の問題として、一体なにを「繰り返す」べきか?
「目標」を模索する中で、みなさんが追求したいテーマは大まかに絞れている
ことと思います。そのテーマの中で、「知識」か「経験」を増やす、あるいは
「技能」を伸ばす、ということを考えてみていただきたいと思います。
たとえば、好奇心が旺盛でさまざまなデータを記憶したり、誰かに教えてあげ
たりすることが好きな人は「知識」を追求するのに向いているでしょう。
頭で考えるタイプというよりも自分は行動派だ、というなら、「経験」を追求
するのに向いているかもしれません。
また、スキルや技術を身に付けることに興味がある職人肌の人なら、「技能」
を追及してみるのが良いかもしれません。
テーマと自分の性格の向き不向きを考えながら、選ぶようにすればOKです。
●苦手を繰り返さない
この時に注意したいのは、「苦手意識を持つ対象を無理に強みにしようと思わ
ない」ということです。
これには2つの理由があります。
まず1つは、苦手意識を持っているということは、すでに「繰り返し失敗して
いる」ということ。それを得意にするよりも他の対象を選んだ方が懸命です。
2つ目の理由は、「自分にとってはマイナスに感じているかもしれないが、
ひょっとすると自分の特徴になっているかもしれないもの」を平均値に近づけ
て特徴を消してしまおうとするのは、ちょっともったいない、ということです。
人がチャンスを得て飛躍するには、「平均点の高さ」よりも「注目点の高さ」
の方がずっと重要です。
「彼/彼女はなんでもできる」というよりも、1つでも「彼/彼女はこんなす
ごいところがある」という特異なところが話題になって、誰かを紹介されたり
お誘いがあったりしますよね?
苦手意識があるものは、とかく気になって、なんとかカバーしたいという心理
がはたらくものですが、ここはグッとがまんして、それよりも別の「もっと人
から見て変なところ」を意識的に伸ばすことで、それを武器にして行こうと考
える方が、自己演出上は得策なのです。
強みというのは、人から見て、それが自分にとってはプラスであれマイナスで
あれ、「ずいぶん変わっている」というところでもあるのです。
「ずいぶん変わっている」ところは、それをどう見るかによって、強みにも弱
みにもなります。
たとえば悲惨な体験は本人にとっては辛いことかもしれませんが、本に書けば
それは多くの人を感動させる価値の高い財産でもある、というのもその例の1
つかと思います。
強みづくりは、まさに、自分の「変わっているところ」をとことん伸ばしてい
く作業なのです。

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大阪府堺市出身。筑波大学(心理学)、米コロンビア大学院(国際広報)卒業。 外務省在外公館派遣員として在英国日本大使館で要人接遇という「対人コミュニケーション」業務、国連機関や米系PR会社、メーカーで広報という「コーポレート・コミュニケーション」業務、そしてライセンスや提携アライアンスという「企業間コミュニケーション」業務など一貫して「コミュニケーション」をテーマに経験を積み、2005年2月に独立。 効果的な情報発信をコアにしたコミュニケーション技術を教えている。著書に、「転職を考え始めたら読む本」(全日出版)「できる社員は要領がいい」(DART)「つるの式仕事術」(IEC)などがある。
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