
前回のコラムで、日記を書かずに自分の意見とその理由を分かるように書こ
う、と提案しました。今回はもう一つ、別の種類のオリジナリティを出すため
の視点をご紹介します。それは、一言で言うと、かけ離れた別の分野の概念や
情報を参照したり対比させたりすることです。
●弁当とマンションは同じ!?
先日、ある不動産ベンチャー企業の社長からプレゼンテーションのトレーニン
グの依頼を受け、シナリオ作りのための打ち合わせをしていた時のことです。
その社長は、不動産業を始める前には、お弁当屋さんを経営していました。そ
して、まったく経験のなかった不動産業で短期間のうちに大きく売上を伸ばし
たことから、どうして素人なのに成功できたのか、とよく聞かれると教えてく
れました。
私も興味があったのでその成功の秘訣を聞いてみました。そうすると、社長は
次のように言ったのです。
「不動産業は、実は弁当屋とよく似ているんですよ」。
どういうことかというと、四角い小さな箱の中におかずを詰めていくのがお弁
当で、四角い地面に間取りを決めて部屋を作っていくのが不動産業だ、と。だ
からお弁当屋をやっていた時の発想が不動産業でも生きているのだそうです。
その話を聞いた私は、左右に2つの長方形の絵を描いて、左におかず、右に風
呂やキッチン、リビングといった間取りを描いて説明する資料を使おうと提案
しました。それを見せながら、「ね、同じでしょ?」なんて言うと、本当に2
つのまったく別のビジネスが、とても近いものに見えてくるから不思議です。
同じ対象でも、人それぞれ違ったところを違った風に見ています。こんな風に
自分ならではの視点でまとめていくと、あなたの発信する情報もオリジナリ
ティの度合いが高くなっていくのです。
●からめ方にはパターンがある!
でも、一体どんなものと、どんな風にからめれば良いかよく分からない、とい
う人もいるかもしれません。実は、基本的なパターンの数は限られていますの
で、順番に当てはめて考えてみると良いと思います。
たとえば・・・
- ○○と似ている
- △△を思い出す
- ◇◇という分類の仕方がある
- ◎◎と同じような位置づけかもしれない
どれも基本的に使い方は同じです。一見かけ離れたイメージのもの同士を「似
ている」「思い出す」などとひとくくりにして表現します。条件が同じものを
連想したり、大きな枠組みの中でどんな特性を持っているかといった観点で組
み合わせる時などに使えます。
また、これに関連して、「○○(条件)のついた◇◇(別のもの)みたい」という
比喩表現も意外と使えます。
からめる題材は、自分が詳しい他の分野から持ってくるのが最適です。趣味や
仕事、出身地などに関係するものが分かりやすいでしょうか?
ここで大切なことが2つあります。1つは、必ずその理由を述べることです。
どうして似ているのか、なぜ思い出したのか。
前回書いた「意見となぜ」は必ずワンセットにする、ということと同じです。
そして、もう1つは、「それで何が言えるのか」です。似ているから、何なの
か。同じような位置付けだから、何が言えるのか。この部分がまさにあなたの
伝えたいメッセージであり、結論であり、オリジナリティ、そして付加価値に
なるのです。

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大阪府堺市出身。筑波大学(心理学)、米コロンビア大学院(国際広報)卒業。 外務省在外公館派遣員として在英国日本大使館で要人接遇という「対人コミュニケーション」業務、国連機関や米系PR会社、メーカーで広報という「コーポレート・コミュニケーション」業務、そしてライセンスや提携アライアンスという「企業間コミュニケーション」業務など一貫して「コミュニケーション」をテーマに経験を積み、2005年2月に独立。 効果的な情報発信をコアにしたコミュニケーション技術を教えている。著書に、「転職を考え始めたら読む本」(全日出版)「できる社員は要領がいい」(DART)「つるの式仕事術」(IEC)などがある。
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