自分探しの自己演出講座

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第31回 運営スタッフを組織化しよう

前回までで、人を集めることのメリットと、実際に人を集める方法について紹介してきました。今回はこれらを踏まえて、さらに、個人的な情報発信を組織的な活動に育てていくために、人を集める「仕組みの構築」について考えてみたいと思います。

●組織のパワー

ニッチなテーマでも、似たようなことに興味を持つ人たちが集まれば、強烈なインパクトを持ちます。その分かりやすい例を1つご紹介します。

まずは、この「日本ゴム銃射撃協会」のサイトをご覧ください。 http://www.ocv.ne.jp/~east/syagekitop.html

日本ゴム銃射撃協会は、私の知人の中村さんが2000年に活動を始めた「ゴム鉄砲」のコミュニティです。「ゴム鉄砲」というニッチなテーマにどれだけの人が興味を示すのか、疑問ですよね。しかし、組織の紹介ページを見ると2005年10月現在で、登録会員が1145人もいるそうです。

どうしてこれだけたくさんの人が参加しているのかは、この協会のサイトをじっくりみていただければ分かると思います。とにかくさまざまなゴム鉄砲の作り方から、ゴム鉄砲を使った競技とそのルール、ゴム鉄砲を使って虫を捕まえてそれをどう料理するかまでまとめてあり、圧巻です。ここまで来るともう芸術の域。ゴム鉄砲の世界がいかに広くて深いかを、多くの皆さんも実感できるはずです。

協会をとりまとめている中村さんは、この情報発信をきっかけに地元の子ども会などでもゴム鉄砲の作り方・使い方を教えるようになったほか、マスコミでも数多く紹介されて、会社員生活の傍ら、日々ゴム鉄砲の活動に奔走しています。

ゴム鉄砲の活動がどれだけビジネスに結びついているかは不明ですが、少なくとも社会との関わりが広がり、周囲からの自分への期待や自分の果たすべき役割を知ることができたという意味では、非常に効果的な自己演出であると思います。

●目的とルールを決めて役割分担する

この活動の立ち上げの経緯を聞いていて面白かったのは、はじめに(実態がないうちに)「規約」や「公式競技」などをあらかじめ決めて、まず、いろんな人が参加できるようにしたこと。こうした細かな準備をしてからネット公開したことで、すでに活動しているような印象を与えることができたのです。

そして、早い段階で参加した人の中から「よい人材」を見つけて「理事」になってもらったり、興味をもってくれた人が全国のあちこちに住んでいたことを生かし、それぞれに各地の支部長になってもらったのだそうです。

確かに、全国に支部があるというだけで、なんだか「すごいな」という印象を持ちますし、支部長になった参加者も地元を代表しているような楽しい気持ちになりますよね。

それにしても一体どうしてこんなに多くの人を巻き込んで活動の展開が広がったのでしょうか?

いくつもの理由があると思いますが、最も大きな理由は、コンセプトが明確だったことでしょう。つまり、ゴム銃を通して多くの人に楽しんでもらえる場を提供する、という主宰者の目的です。この目的がはっきりしていたので、はじめから意識して多くの人が参加できる仕組みを作りました。

たくさんの人に楽しんでもらおうと思うと、1人ではどうしても運営に限界があります。そこで、運営スタッフを同時に増やしていくことになります。

一方で、運営スタッフが増えてきたときに、1つずつ全員に細かく仕事をお願いするのは大変な作業です。そこで、目的とルールをまず共有してから、それぞれが担当する役割を決めるようにします。

ここで大切なのは、それぞれが自発的に動けるようにすることです。お互いの持ち味が活かせる体制を作ることで、自分がすべてを管理しなくても、それぞれが情報を発信し、それぞれが新たな人を呼び込み、それぞれが新たなコラボレーションを生み出すようになります。

このような流れをうまく作り出すことができれば、あなたが火をつけた活動がどんどん広がっていくようになります。

これがね、おもしろいんですよ。

プロフィール

鶴野充茂氏
鶴野充茂(つるの みつしげ)ビーンスター株式会社 代表取締役

blog : http://www.kohoman.com/blog
メルマガ : http://www.mag2.com/m/0000023445.htm

大阪府堺市出身。筑波大学(心理学)、米コロンビア大学院(国際広報)卒業。
外務省在外公館派遣員として在英国日本大使館で要人接遇という「対人コミュニケーション」業務、国連機関や米系PR会社、メーカーで広報という「コーポレート・コミュニケーション」業務、そしてライセンスや提携アライアンスという「企業間コミュニケーション」業務など一貫して「コミュニケーション」をテーマに経験を積み、2005年2月に独立。
効果的な情報発信をコアにしたコミュニケーション技術を教えている。著書に、「転職を考え始めたら読む本」(全日出版)「できる社員は要領がいい」(DART)「つるの式仕事術」(IEC)などがある。

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