キャリアアップに役立つ!最新オススメ映画情報

主観的に走る時期があるから客観的になれる

――監督が率先して楽しんでいるから、小ネタもより光るという感じですね。
この映画は特にそうかも。「小ネタをでかいスクリーンに映したい!」って気持ちだけ。「小ネタの集積だけで走れるだけ走ってみたい!」ってね。
――やはり、映画という一大プロジェクトにおいて、気持ちは重要ですか?
自分自身、映画監督の才能があるとは思っていないんですよ。結局、重要なのは才能よりも、やりたいかどうかの差なんじゃないかな。僕なんて、映画を撮り始めたのは38歳の時ですからね。しかも、カルチャー教室みたいなところで、学生さんとか自分より17〜18歳も年下の人達と一緒に多摩川の河原に撮影に行ったのが最初。それはそれで楽しくってね。
――何か、楽しんでばかりな印象を受けますよ。
やりたいことをやっているんだから、楽しい。逆に、やりたいと思わなくなった時点で、それ以上やっていてもしょうがないのかなと。
――普通、そこまでなかなか割り切れないじゃないですか。
人間って、主観的に生きている時期と客観的に生きている時期があると思うんです。僕は中学時代サッカー部だったんですが、一生懸命やっていた時って、実はサッカーのことがよく分かっていなかった。中学でサッカーをやめて、高校の体育の授業でサッカーをやった時に、「あ、サッカーってこういうことなんだ」って客観視できて、中学の頃に先輩が自分に要求していたことがわかったりする。そういう感覚になるには、別にサッカーに限らず、仕事でも映画でも1度、一生懸命やってみないとダメだと思う。
――これからどんな映画を撮っていきたいですか?
僕自身が「映画ってこういう感じなんだ」って客観的になりかかっていたんです。だから、45歳になった今こそ、もう1回全力で走る時期だなと。主観的に走れるところまで走って、自分が面白いと思うことをできるだけ詰め込んでね。今回はその代表作。まぁ、客観的に評価できるようになった時、僕が映画監督をやっているかどうかはわかりませんけど(笑)

編集Sがオススメ映画をCheck!「今月のClose Up」鑑賞記『図鑑に載ってない虫』編

三木監督作品といえば、ユル〜イ感じがかなりツボなんだけど、『図鑑に載ってない虫』はツボ突きまくり。しかもネタが多すぎて、見逃しているネタもいっぱいあると思う。

もちろん、ネタだけじゃなくて、ストーリーもきっちり。「脱力」と「ストーリー」の組み合わせって、面白さの要素だと思うけど、それに「ネタ」が加わると、肩肘張らずに画面に釘付けになることを知りました。「生と死」がテーマの1つだから、本来はもっと重かったり、マジメだったりするんだろうけど、それを微塵も感じさせないのが三木マジック。この作品、マジメに働いている人ほど楽しめる気がする。「たまには肩の力抜けよ〜」って。

いや〜、笑った笑った。僕もキャリアアップは目指しているけど、こういった息抜きは必要だと実感しました。「笑う門には福来る」ですよ、皆さん。

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三木聡  プロフィール
1961年、神奈川県出身。構成作家として『ダウンタウンのごっつええ感じ』『笑う犬の生活』『タモリ倶楽部』『トリビアの泉』など、多くの伝説的テレビ番組に関わる。2005年に『イン・ザ・プール』『亀は意外と速く泳ぐ』が連続して劇場公開され、ヒット。一見無駄にみえるセリフや小ネタを積み重ね、絶妙なバランスでストーリーを構築する都会的なオシャレさと脱力系の笑いを兼ね備えた独自の演出スタイルに、ファンは多い。また、テレビ朝日系のコメディ・ミステリードラマ『時効警察』ではメインエピソードの脚本・監督を務め、深夜枠ながらも異例の視聴率10.1%をマーク。「ATP賞テレビグランプリ 2006」ドラマ部門最優秀賞にも輝く。今年4月からオンエアされている『時効警察 2』も好評。主観に走ったという『図鑑に載ってない虫』では、小ネタをこれでもかというくらいに盛り込み、ストーリーにアクセントと深みを持たせている

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