海外ではたらく!めずらしいこんな仕事

第4回 発音矯正師
Orthophiniste

「発音矯正師」。日本では耳慣れない職業であるが、子どもを中心に発音や発生法に問題がある患者に、矯正治療を施す仕事である。

発音や発生法に問題があったり、言葉が遅れている子どもに対して発音矯正を中心に、話し言葉による表現方法を改善し、発達を促すのが発音矯正師の主な仕事だ。

最初のカウンセリングで小さな子どもなら絵を見せて単語を言わせたり、数を数えさせたり。小学生には音読や絵を描かせてそれについて話をさせたりしながら言語表現上の問題点を見つける。以後は1回30分の治療時間で、発音の矯正だけではなく、正しいイントネーション、きれいなリズムで話す、語彙を増やす、など正しく美しいフランス語を話せるように指導していく。治療期間は子どもにより異なるが、1年間ほど続けることが多いという。1回の治療費は30ユーロ程度だが、病気治療と見なされるので、健康保険が適用される。

もちろん、子ども以外にも事故や病気などによる言語障害や咽喉手術後のリハビリテーションなども行う。医療行為なので、この資格を取得するには大学の医学部あるいは専門の養成機関で4年間(実習期間も含む)の教育を受ける必要がある。ちなみに子どもを相手にすることが多いためか、発音矯正師の95%を女性が占める。またフランスの平均失業率は現在、10%であるが、この資格保持者の失業率は1%程度。出生率が上がり、今後も子どもの数が増えていくと予想されているので、若い女性たちが関心を持つ将来有望な職業の一つだという。

【データ】

就業人口:約1万5000人(2002年統計)
平均年収:約2万ユーロ

ライターコメント

発音矯正師の存在を知った時には、フランスは移民が多く、国際結婚率が高いので、両親または親の一方がフランス語を母国語としていない家庭の子どもを対象に治療を行っているのだと思っていた。
ところが、両親がフランス人の子どもで発音矯正師の元に通っているケースは少なくないらしい。たいていは学校の教師、あるいは保健婦の勧めでカウンセリングを受けに行くのだという。富裕層の多い地域に住む友人が「うちの子が通う学校はフランス人の中流家庭の子どもが多いけれど、クラスの半分以上が発音矯正をしている」と言っていたが、どうやら担任が美しいフランス語にこだわりがあるらしい。

ちなみに私もフランス語の発音に問題アリなので、発音矯正に通ってみようか、と考えたが、外国人の発音矯正は治療ではないので、保険は利かない。1回30分で30eurosは自腹を切って通うにはちょっと高い。

Writer Profile

Yuka Egusa

フリー・編集ライター。96年からパリ在住。ライターとして日本の雑誌やHPにパリ情報、フランス社会・文化などをテーマに寄稿。同時にパリ発・日本語情報誌『ビズ・ファミーユ』の編集・発行人を務める。著書に芝山由美のペンネームで書いたOL留学体験記『夢は待ってくれるー女32才厄年 フランスに渡る』がある。海外書き人クラブ・メンバー。

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