海外ではたらく!めずらしいこんな仕事

第2回 公園まで出前OKの中華料理店

出前を取るといえば、韓国では中華料理。しかもどんなところからも出前を取ることができる。いったい、どんな人々がどんな料理を注文し、どこで食べるのだろうか。

韓国の街を歩くと、よく目にするのが中華料理店のバイクだ。料理以外に残飯用の大きなポリバケツを乗せているのが特徴だ。バイクはかなり危険な運転で街を縦横無尽に走り回りながら、注文があればどこまでも配達する。

出前の中味のほとんどが「ジャジャンミョン」と「チャンポン」、そして「タンスユッ」だ。中華料理店には他にもメニューがあるが、出前が多いのはこの3種類。特に「ジャジャンミョン」は出前中華を代表するメニュー。日本ではジャージャー麺だが、初めて見る人はその黒々とした色に驚くだろう。味も本場中国のものともまったく異なる。「チャンポン」は唐辛子で真っ赤なスープだ。「タンスユッ」は日本でいう酢豚のようなもの。

中華の出前は家やオフィスなどはもちろん、公園や大学のキャンパスにも配達する。街を歩くといたるところに中華料理店の宣伝用ステッカーを貼り、お腹が空いたらいつでもどこでもケイタイから注文の電話をかけられるようになっている。公園ではトイレやベンチ、木などにステッカーが貼られていることが多く、家族連れやカップルなどが気軽に出前を取る風景が見られる。

変わった場所に出前を届けることも多い。幹線道路で渋滞中の車や官公庁前でのデモの集会などなど。「ジャジャンミョン」は子どもに人気の食べ物だが、大衆食堂で子どものために中華の出前を取る人もいる。

中華料理店では注文を受けると、ケイタイなどで届け先を確認しながら、30分以内には配達する。使い捨て容器の使用が厳しく規制されているため、食べた後の皿の回収も行わなければならない。公園などでは容器の置き場を客と決めておく。韓国では残った料理はそのまま出すことが多いので、残飯処理用の大きなバケツも欠かせない。

【データ】

店舗数 : 2万4000店
一日に食べられるジャジャンミョンの数 : 720万皿
ジャジャンミョン一皿の料金 : 3500ウォン(約350円)

ライターコメント

ある大学教授を訪ねたときのこと。その先生はキャンパスで一番景色がいいところへ案内してくれ、お昼をごちそうすると言う。いつレストランへ行くのかと空腹をこらえていると、突然エンジンの音とともに、中華の出前のバイクが登場。ピクニック気分でジャジャンミョンをいただいた。
こういう韓国人の発想にふれる度に、気楽で豪快な彼らの食の楽しみ方に驚かされる。どこにでも配達してくれる中華の出前はスナック感覚だ。親しい人と会って食事をしたいが、気取ったレストランに行くのも億劫というときに中華の出前を取ってみんなでわいわい食べる。
だからお客さんをもてなすときには使えない。日本ではお寿司の出前を取ったりするが、韓国では手作りの家庭料理が何よりのおもてなしだ。
最近では高級レストランでの正統中華料理も人気が出てきたが、雨後の竹の子のように増えた中華の出前サービスも生き残りをかけてバイクを走らせる。韓国には大きなチャイニーズタウンこそ存在しないが、出前中華は庶民の味として定着した。

Writer Profile

Kaya Tabata

1991年より韓国在住。梨花女子大大学院女性学科修士課程卒業。国際交流基金ソウル文化センター、オープンサイバー大学で翻訳を教える。子どもの育児環境を求めソウル郊外へ引っ越し、週の半分は自宅で翻訳やエッセー執筆をしている。

海外の求人情報へ

▲ページのトップへ