第2回 自己アピール編

実力主義の名のもと、3カ月ごとに査定の見直しをする企業もあり、常日頃からの行動が給与に影響する時代となってきた。査定の結果を知ってから文句を言ったのでは遅いのだ。そこで、連載2回目も前回に続き、外資系金融機関3社の人事部長を歴任し、「1000人のクビを切った男」として有名な梅森浩一氏が登場。評価する立場である人事担当者の心理を踏まえたアピール術を伝授する。

査定の段階になって「自分が思ったよりも評価が低い」と感じたことがある人は多いはずだ。安定して高い評価を勝ち取るには、それなりの心得が必要となる。そこで「1000人のクビを切った男」と称される“クビキラー”の梅森浩一氏が伝授する、高い評価を得るために有効な技について教えてもらった。

前回で、「他人目線」がいかに重要か、お分かりいただけたと思う。そこで今回は、この「他人目線」について、より具体的に掘り下げていこう。

成果主義は減点主義?

「他人目線」を知ることは、他人による評価方法を知ることでもあるよね。評価方法は会社によって違うけど、基本的には減点方式。何も失敗しないのが一番点数は高く、何かミスするたびにドンドン減点されていく。加点方式という話は、ほとんど聞いたことがない。会社としては、減点方式の方が、総人件費を抑えられるからね。

外資系企業は一応加点方式の形を取るけど、現実には、「結果が先にありき」の減点方式。成長途上のベンチャーなんかだったら、加点方式もあるだろうけど。要するに、減点なのか加点なのかは、会社のステージや評価する人、項目によっても違うから、ここをきちんと踏まえておかなければいけない。逆を行くと、エラい失敗をしちゃうよ。「頑張れば評価するぞ」と言う上司がいても、それは口だけかもしれないしね。

繰り返すけど、評価する人の基準を知らない限り、いい評価をもらうなんて無理。実際会社の業績が悪いのに、あまり給料が下がらない人がいる。一方で、20%もカットされちゃう人もいるでしょう。その差は何ですかというと、それは評価者の尺度をきちんと理解しているかどうかに尽きる。「あいつは口がうまいからな……」とグチっても、それは負け犬の遠吠えでしかない。もう一度言うけど、結果がすべだということを忘れてはいけないよ。

直前の印象が査定に影響大

査定結果は、だいたい年俸交渉の前には決まっている。だから、交渉で大きく結果が変わることはめったにない。だけど、僕が『「査定!」論。』(PHP研究所)という本で書いたように、査定の場面では、どうしても人間ならではのエラーが出てくる。

人間というものは直近のことしか記憶に残りにくいから、例えば12月に年俸交渉をすると、その年の1月に仕事でいい成果を挙げても忘れられているケースが多い。こういう場合、さすがに上司に向かって「あなたはなんてバカなんですか? 1月、2月、3月と、僕はこれだけの成果を出したじゃないですか!」と食って掛かるわけにはいかない。

だけど、「直近のパフォーマンスは普通かもしれないけど、年が明けたばかりの時にこれだけの成果を達成したことを見落としていませんか?」と聞いてもいいと思うよ。

では、1年間まったくいい仕事ができなかった場合にはどうすればいいのかという話になるけど、この場合は、将来のことや継続中のプロジェクトとなど進行中の仕事を中心に説明するしかない。会社は単年で生きているわけではないので、そういう仕事は上司としても会社としても大切だし、必要なわけだよ。

直近の数字が良い時は、そこにシフトしてアピールするし、悪い時は中長期にシフトして話す。これが、重要です。「今期は数字が出ないけれども、種を蒔いてすぐに刈り取れるような仕事ばかりじゃなく、中長期的な視野も持って仕事をやっている」という具合にね。

“一発芸”は一瞬しか通用しない

ただね、こういった“瞬間一発芸”みたいなアピールは、結局一瞬しか通用しない。あまりやりすぎると、狼少年になっちゃう。もちろん、ある程度将来の“大風呂敷”を広げるのは必要だよ。成功するとは限らないことなんて上司もわかっている。でも、成功する可能性のない奴なんか可愛いがる方法がないでしょう。

だけど、将来についてコミットすることは、失敗リスクを抱えながらやっていかなくてはならないということ。失敗は何回も通用しないし、その人の評価を下げてしまう。「あいつはああいうタイプか。信用できない」とね。

一発芸は成功することもあるけど、今年生き残ったところで、いずれはポシャる可能性が高い。だから、評価される基本は、あまりガーンと上がらない代わりにあんまりガーンと下がらない、平均より“ちょい上くらい”の形でずっと上がっていくのが理想じゃないかな。人生と同じで、サラリーマン生活も長いからね。

▲ページのトップへ