第3回 コミュニケーション編

多くの企業が実力主義をベースとした給与制度を採用するようになってきた。給与は自分の価値を数値化するものとして機能し始めたと考えてよいだろう。自分の価値をより高め、給与に反映させるにはどうすればよいか。企業人事として1000人のクビを切った男、自称“クビキラー”の梅森浩一氏が贈る第3回目は、「コミュニケーション」をテーマに、前回述べたアピールの効果をさらに高める方法を聞いた

前回までは、給与交渉の基本を踏まえた上で、アピールする技について学んできた。だが、技というものは、なりふり構わずに披露するよりも、「ここぞ」というところで発揮してこそ、より高い効果が得られるものである。

「一生懸命アピールしたのに、思ったような効果が得られなかった」「ことあるごとに意見を述べたりしているが、まともに取り合ってくれない」という不満は、今昔を問わずよく聞く。一方で、飄々と仕事をしているようにみえても、次々とビッグプロジェクトを手がけているような人もいる。同じような仕事をしているにもかかわらず、差がついていくのは何が原因なのか。自称・クビキラーの梅森浩一氏はそれをタイミングだと言い切る

そこで今回は、より効果的にアピールする方法についてと語ってもらった。第1回の他人目線、第2回のアピール術とあわせれば、アナタの価値はさらに上がるはずである。

アピールはタイミングを見て

上司に自分を正当に評価してもらうためにアピールするのは大事だけど、いつも「この仕事をやっています、あの仕事も手掛けています」と見せるのは逆効果になることもある。ちゃんとタイミングを考えないとダメだね。

ガンバっている割に評価されない人っているでしょ。これってたいがい、相手の状況を考えていない。すべてが自分中心で、上司が話を聞いてくれそうなタイミングを計っていないんだよ。上司がテンパッているときに、のべつ幕なし状態で何か言っても、たいがい逆効果にしかならない。

例えばトイレで用を足そうとしている時に話しかけるとかね。終わって手を洗っている時に話すのなら分かるけど、用を足す前に話しかけてきたら「こいつ何者だ?」と思われますよ(笑)。デキる人は、終わった後で上司がホッとしたところを見計らって、「暑いですね〜」から始めて、「実はご相談なんですけど1〜2分いいですか?」と話を持っていく。デキる人って、「今だったら相手が聞いてくれるな」という“タイミング”をわかっているんです。

こういう間の取り方ができる人って、プライベートでも友達を作るのがうまい人が多い。トイレの件は例え話だけど、基本的なコミュニケーションスキルが備わっていない人は、ぜひマネするべきだね。

プロとアマの違いはメールに表れる

メールも重要なコミュニケーションツールの1つだけど、「メールだけ送っておけばいいや」と考えていると失敗しかねない。送った方は、「相手はメールを読んで、理解してくれただろう」と勝手に考えがちだけど、受信した方からすれば、「どこにお前のメールを全部読まなくてはいけない法律があるんだ?」ということになるよね。

もし読んだとしても、内容を覚えていないかもしれないし、誤解しているかもしれない。良い方に誤解しているならいいけど、悪い方に誤解しているとエラいことになる確率も高い。だから、メールを送ったら、「お忙しいと思うのですが、この間送ったメールの内容を少し補足させてもらえますか?」という具合に、相手がどういうふうに理解しているのかを確認したほうがいい。誤解しているようなら、「ちょっと誤解されているようなので、説明させてください」と、直接コミュニケーションをとる必要がある。

言うまでもないけど、仕事と遊びは違う。それは何かと言うと、「仕事はお金をもらう」ということ。だから、メールも、遊びで使う時と仕事で使う時では使い方が違うということを理解しないとね。お金をもらえるかどうかの“大事な局面”で、何でコミュニケーションの手間を省くの? そこが、プロとプロじゃない人との境い目じゃないかな。

エンジニアでも経理でも営業でも総務でも、すべてのビジネスに共通する鉄則が1つだけある。それは、「ビジネスはお金を手に入れて始めて成立する」ということ。当たり前だよね。いくら「営業して商品を売ってきました」と言っても、お金をもらう前に、売った先の企業が倒産するケースだってたくさんある。お金を手にできなければ商品を売ったことにならない。だったらお金をもらうまでの大事なプロセスを、何でメールだけで完結させようとするの? そんな簡単な形でビジネスは完結させることができるの?

商品を売った時、請求書を送っただけではビジネスは終わらないでしょう。相手がお金を払うというアクションが伴わない限り商売は完結しない。だから、入金を確認したり、払われなければ督促したりするわけでしょ? メールも同じこと。ビジネスにおけるメールは、送りっぱなしでは通用しないと思っておいた方がいい。メールだけで済まそうなんて、コミュニケーションを節約しちゃダメですよ。

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