“日本初”のプロスポーツ選手エージェントが語る 年収アップのための「給与交渉術」 第1回 ヤクルト・古田敦也編(2/4)

選手を悩ませる契約交渉には代理人が不可欠

「野球、サッカーに限らず、スポーツ界全体に貢献したい」と語る辻口弁護士。自身もスポーツマンである

現在ヤクルト・スワローズで選手兼監督の古田君の代理人になったきっかけは、彼の友達が僕の友達だったからです。もっとも、古田君から話がくる以前に、パ・リーグのある選手から税金の相談を受けたことがありました。プロの選手ですから、やはりお金の悩みなんですね。

その選手から、「スポーツ新聞なんかでは結構ハデに書かれたりしていますが、僕らは次の年『必要ない』と言われたらそれで終わり。一般の選手だったらドラフト上位で入っても身分は保証されていません。また、ジャイアンツの選手なら選手を引退しても就職口には恵まれていますが、他のチームだと本当に何もないのです、だから契約更改の時はエライしんどいですよ」なんて、暗い話をよく聞かされました。彼もそれなりに活躍していた選手だったんですけどね。

僕が子供の頃は、王、長島選手に憧れて誰もがプロ野球選手を目指していた時代だったので、プロ野球選手というのは誰からもうらやましがられる存在。そんな憧れの存在だったはずなのに、プロの野球選手からその話を聞いた時は、「何とか力になってやれないものかなあ」と思いました。

それからしばらくして、たまたまヤクルトの選手とお話しする機会があったんです。ちょうどシーズンが終わって、選手が骨休めをしていた時、ヤクルトの選手達と懇談会をやりました。広沢、池山、岡林選手なんかが活躍していた時代です。

そこで1泊して、選手の悩みとかをいろいろ聞かせてもらいました。その中で、「契約交渉の時に代理人は必要だよね」という話が出たんです。「あの日(契約交渉の日)さえなければ、もっともっと野球が好きになるんですけどねえ」なんてボヤく選手もいました。

“敵方”に有利な陣形で交渉はスタートする

アメリカからメジャーの選手が日本に来る時には、代理人が分厚い契約書を用意しますが、当時の日本選手は統一の契約書一枚で処理されていました。しかも実際の契約のやり方といえば、球団事務所、つまり“敵方”の陣地に呼び出された上で、自分の親父ほど歳の離れた2〜3人の関係者を相手に、たった1人で交渉に挑まなければならない。

これも、交渉を有利に進めようという球団側の作戦なんだろうと思います。交渉事をうまく運ぶには、交渉の場所とか時間帯、人選といった事前の戦略が大きく影響する。しかも、向こうは人生経験も豊富だし、選手の家族状況とかも含め、データもたくさん用意している。

そういう状況の中で、20代、30代の選手が太刀打ちできるはずがありません。こういうアンフェアな関係を解消するという意味でも代理人は必要だと感じました。

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