“日本初”のプロスポーツ選手エージェントが語る 年収アップのための「給与交渉術」 第1回 ヤクルト・古田敦也編(4/4)

今の仕事だけではなくセカンドキャリアも考えよう

古田君の代理人問題の後、1995年に野茂選手がメジャーリーグに行ったりして、事実が先行する形でプロスポーツ界が変わっていきました。代理人制度も、当時と比べれば当たり前のようになってきました。ただ、日本野球機構側が代理人を認めると宣言しましたが、実際に表に出て代理人を立てている人はまだまだ少ないですね。

結局、代理人を立てられるのは、「自分はホサれない」という自信がある人だけで、並の選手、つまり一番年俸を上げたい人達の間では、代理人制度は普及していないというのが実態です。本当はこの点が一番問題なんです。サラリーマンの世界でも、普段から仕事で成果を出している人や、「自分はいつでも転職できる」という自信のある人が、年俸交渉でも強気に出ることができるのと同じことです。

ですから、プロ野球の世界でも、並の選手がもっと気軽に代理人制度を利用できるようになるためには、「要らない」と言われた時のセカンドキャリアの準備が必要ですし、資金の蓄などやるべきことは山積みです。そういう意味でも、日本の代理人制度はまだまだこれからだと思っています。

サラリーマンの世界でも、雇い主である会社との年俸交渉で、堂々と渡り合うには、普段の仕事ぶりはもちろんのこと、付け焼刃ではなく、本当の意味での実力、自分自身でキャリアを形成していく心構えが必要になるのではないでしょうか。

給与交渉 辻口弁護士の格言

  • お金のことばかり言うと「汚い奴」と思われる
  • 敵に有利な陣形で給与交渉はスタートする
  • 結果を出しているなら強気に出てもOK
太陽法律事務所 弁護士 辻口信良氏
1947年生まれ。弁護士。1992年、古田敦也選手(現・兼監督)の委任を受け、日本人初のスポーツ選手代理人として、2000年秋から始まるプロ野球界の代理人制度導入の礎を築く。現在、関西大学と龍谷大学で、週1回スポーツ法学の講義を担当。スポーツを市民生活に根付かせ、21世紀を「平和の世紀」にするため、文化としてスポーツを活用することに全力を尽くしている。「スポーツは軽く国境を超える」が好きな言葉

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