“日本初”のプロスポーツ選手エージェントが語る 年収アップのための「給与交渉術」 第2回 オリックス・清原和博編(1/4)

限られた予算の中でできるだけ支出を抑えたい経営陣と、少しでも多くもらっておきたい選手。双方の目的が相反する中、契約更改時に年俸交渉が決裂することは珍しくない。選手の過度な主張は、選手自身の放出や解雇につながりかねず、リスクが付きまとう。その中で、代理交渉人はどのような交渉戦術でまとめているのだろうか。日本初のプロスポーツ選手エージェントが語る給与交渉術の最終回!

駆け引き好きは人間性を疑われる

古田選手にせよ宮本選手にせよ、僕のような代理人が交渉に当たる場合には、最初から本音の金額を出すことは100%ないですね。「落としどころはこれくらいだろう」と分かっていても、最初は本人の希望するマックスの金額で要求をかけるのが交渉事のセオリーです。交渉相手にプレッシャーをかける意味でもね。

ただ、選手自身の問題として、あんまり駆け引きばっかりやることは好ましくありません。たとえその年には通用したとしても、人としての誠実さを疑われることになりかねません。

例えば、タイガースの藤川選手のように、「中継ぎをどう評価してくれているのかが分からないうちは、どんな数字が出てもサインはしない」と言うのなら筋が通っていますが、希望額で必要以上にハッタリをかますと、「あいつは最初のうちはホンネを言わない奴や」というイメージを持たれてしまう。そうすると、その後の交渉もやりにくくなってきます。

プロ選手もサラリーマンも「弱み」は同じ

カリスマ性を持つ清原の給与交渉は、実はスムーズなことが多い。苦しい状況でも甘んじて受け入れる姿勢は好感度が高い

だから、時には最初から現実的な金額を言った方がいい場合もあります。選手本人の性格にもよりますが、プロのスポーツ選手として一番考えなければいけないのは、「そのチームに残りたいかどうか」なんです。

残留したいと思えない場合、ある程度移籍先に目星がついているなら、自分の要求を押し通すのもありだと思います。サラリーマンの人もそうですよね。資格などを持っていて転職先がいくらでもある人なら、強気に年俸交渉を進められます。でも、その環境にいるしかない人ならそうもいかないでしょう。華々しく見えるプロのスポーツ選手だって、基本は同じことなのです。

ただ、年俸交渉でモメたとしても、労働法の関係でサラリーマンは解雇されることはまずありませんが、野球選手やサッカー選手は「1年契約」という特殊の契約になっていますから、そのあたりはかなりシビア。選手の希望額と球団の提示額にあまりにも開きがありすぎると、「じゃあ、ムリだな」ということで放出されたり、自由契約にされたりすることもあります。

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