「お客様の期待に応えたい」と思う“心”と、そこで働かせる“知恵” がどれだけあるかで営業成績は決まるといっても過言ではないと語る 高橋宗照氏。できる営業マンになるためには何をすればよいのか? 今すぐにでも試してみたい営業のちょっとした工夫や交渉のコツなど を伝授する!

第3回 行動心理学に則った効果的な営業とは?

相手の予算を聞き出すテクニック

高橋 宗照(たかはし むねてる)さん

高橋 宗照
(たかはし むねてる)さん

大手注文住宅メーカーで10年間注文住宅の営業職に従事。その後、不動産デベロッパーにて事業計画の立案を経験。その後、株式会社船井総合研究所に入社し、経営及び営業活性化を行う。2002年1月、コンピテンシーや経営コンサルティング会社株式会社 タカハシ&パートナーズを設立し、代表取締役に就任。

 営業マンにとって、お客様の予算を知ることは非常に重要です。ただ、ほとんどのお客様は、自分の財布の中身を他人である営業マンに教えるのは気が引けるもの。特に、十分に信頼関係を築けていない段階ではその傾向は強いといえます。

 予算が分からなければ資金計画も作れません。そのことは、当然お客様も分かっています。それを強引に突破しようとすれば、「何でよく知らない人に教えなきゃいけないんだ」とお客様に逃げられてしまう可能性が高くなるだけです。そうならないためには、お客様が話すのに抵抗が少ない“周辺情報”を聞き出して推測すればいい。

 例えば住宅のセールスであれば、(1)「自己資金はいくらありますか」と切り出すのではなく、(2)「“総予算”でいくらまでだったらOKですか?」とさりげなく聞けば、お客様も答えやすい。つまりこれらの質問でお客様が受ける印象は、(1)ならば「あなたの財布に今いくら入っていますか?」と聞かれているように思います。するとお客様は(怖がって)実際より少なめに言うケースが多い。また(2)の場合は「持っているお金の中から“いくらまでなら使えますか?”」と聞こえる。だから割合(2)に比べ正確な自己資金の額を言ってくれやすい。ここで大事なのは「(営業マンが)何を言うか?」ではなく、「(それを聞いたお客様が)どう受け止めるのか?」という「受け手がすべて」という原則なのです。

 あるいは、「今、家賃をどれくらい払っていますか?」と聞くのも1つの手ですね。そこで「10万円くらい」と答えが返ってきたら、次は「その額にあとどのくらいプラスして払っていけそうですか?」と、質問します。お客様から「あと2〜3万円かな」と答えを引き出せれば、それでお客さんの資金計画の全体像を把握できますね。

 予算の聞き方1つをとっても、他人が不快に思うことに対して敏感でいること、つまり「気を遣える」ことは営業マンにとって重要なコンピテンシーであるといえるでしょう。ただ、勝負どころでは、ある程度は強引になることも必要です。

 もちろん、強引な言動を嫌がるお客様は少なくありません。したがって、お客様にも十分、選択肢を与えておく必要はありますが、最終段階では、お客様に決断を迫る「クロージング」をしなければなりません。しかし、クロージングができない営業マンはかなり多い。クロージングすべき場面で、「この3つのうちどれにしますか?」などと言っているようでは、お客様を逃がしてしまいます。


“バイイング・シグナル”を見逃すな

 「買いたい」と思っているお客様には、必ず“バイイング・シグナル”(買う気シグナル)が出ています。例えば、購入後の保証について聞くのはその1つです。保証が気になるのは、買う気があるからです。

 “バイイング・シグナル”が出たらクロージングに入るのがセオリー。ですが、なかには、明らかに“バイイング・シグナル”を出していながら、最終決断ができないお客様もいます。高額商品になればなるほど、決断を悩むお客様は多くなる。高額商品の典型といえる住宅の場合、ほとんどのお客様は、複数のハウスメーカーの中からどれを選択するかで迷っています。

 各ハウスメーカーにはそれぞれ特徴があり、優れているところもあれば、劣っているところもある。だからこそお客様も迷うわけですが、その場合にはお客様に、自社の商品に対する不満をすべて挙げてもらいます。そして、「これらの不満をすべて解決したら、ウチに決めていただけますよね」と切り返す。不満を逆手にとって、それをお客様の目に見える形で解消してあげると、優柔不断な人ほど納得してくれるものです。

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