同じ内容であっても、“伝え方”によって聴き手が受ける印象は大きく変わるものだ。では、どのように伝えればよいか? コミュニケーションの専門家・箱田忠昭氏が、誰もが習得可能なプレゼンテーションのノウハウを伝授する!

第5回 プレゼンを成功に導く“緊張”のコントロール

“緊張”のコントロール

箱田忠昭さん

■箱田忠昭さん
日本コカ・コーラの広告部マネージャー、エスティ・ローダーのマーケティング部長、パルファン・イヴ・サンローラン日本支社長を歴任。その後、1983年にインサイトラーニング株式会社を設立し、代表取締役に就任

 大勢の前でプレゼンテーションをしろと言われれば、程度の差はあれ、ほとんどの人はアガるものです。よく「聴衆をカボチャと思え」と言われますが、現実にはなかなかそう思えるものではありません。しかし、もし“緊張”を自在にコントロールできれば、プレゼンテーションで戸惑うことは大分減ります。

 私自身の体験では、プレゼンテーションであがらないための最善策は、場数を踏むこと。私は年間300回のペースでスピーチやプレゼンテーションを行っていますが、話が上手と言われる人は、実は幾度とないプレゼンテーションの機会で、失敗を重ねて上達してきたのです。

 私は田舎育ちで、若い頃は内気で恥ずかしがりやで自意識過剰でした。「人前で話す」と考えただけで不安と恐怖感でいっぱいになり、考えていたことの半分も言えずに後悔した経験はたくさんあります。それが今では人前で話すことを教える仕事をしているのですから、経験さえ積めば誰でもプレゼンテーションのスペシャリストになりえるのです。


事前準備が緊張を和らげる

 とは言え、そう何回もプレゼンテーションをする機会に恵まれるとは限りませんから、「場数を踏め」と言ったところで何の解決にもなりません。それでは、他の解決策として具体的にどのような方法があるのでしょうか。

 まず最初に知っておいてほしいのは、プレゼンテーションというストレスの高まる状況で、不安や恐怖感を感じて「アガる」のはごく自然だということ。緊張してアガることを、「自分は気の小さいダメ人間だ」などと責める必要はまったくないのです。「アガって当たり前」と思えば、少しは気が楽になるでしょう。

 また、プレゼンテーションが始まる前はすごく“ドキドキ”していたのに、実際に始まると、意外と落ち着いていたという経験はないでしょうか。本番前の“ドキドキ”が止まらない最大の理由は準備不足です。プレゼンテーションは、段取り8割、実行2割と言われています。プレゼンテーションの流れを事前に頭に叩き込んでおけば、始まってからの“ドキドキ”は大分緩和されます。

 それでも、伝える情報が多い時には、「言うべきことを忘れてしまうのではないか」と不安に襲われ、その不安がまた緊張を高める要因になることがあります。このような事態に陥らないためには、言うべき事項をパワーポイントのスライドにすべて落とし込んでおくことです。「スライドに頼ればいいや」という状態にしていれば、いざ本番という時でも安心してうまく話せるものなのです。

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