

数ある国家資格の中でも、最高峰のステータスを有する司法試験を初め、法や政治に関わる国家資格は、業務を独占できるということだけでなく、そのどれもが“特権階級的”な色彩を帯びている。当然、受験者は目の色を変えて勉強し、裁判官、検察官、弁護士、行政書士、司法書士、弁理士などの職業を目指すこととなる。
そういった難関国家資格ならではの競争の熾烈さから、「自分には無理」と感じてしまう人が多く、他の資格を取得するのとは違う次元と考えてしまいがちである。だが、業務に直結する資格という観点から見ると、自らが描くキャリアプランの通過点であることには変わりがない。
今回紹介する資格は、それを業務に活かすというより職業そのものを示すので、「転職に使える」というコンセプトからは外れているが、同時に食わず嫌いでいた「超難関国家資格像」をとらえなおすきっかけにもなる。「特権を得るのは自分かもしれない」、そう考えてみてはいかがだろうか。

司法試験は、言わずと知れた「資格の王様」であるが、法曹(裁判官、検察官、弁護士)になろうとするものは、原則としてこの試験を受けなければならない。現在は、司法試験制度の移行期にあり、今年度から法科大学院(ロースクール)の卒業を前提とする新司法試験が開始され、平成23年までの間は、新司法試験と従来の制度による旧司法試験とが併存することになっている。第一次試験は、教養試験で短答式および論文式からなる。受験制限は特にないが、大学を卒業(短大は除く)または大学に2年以上在学し、一定の単位を取得していれば生涯免除される。また、一次試験合格者は公認会計士試験及び不動産鑑定試験においても、一次試験が免除される。第二次試験は、法律的知識を問うための試験であり、短答式試験、論文式試験、口述試験の3段階からなる。
※新司法試験の場合
・短答式試験…民事系科目:75問程度(150分) 公法系科目:40問程度(90分) 刑事系科目:40〜50問程度(90分)・論文式試験…選択科目:2問(180分) 公法系科目:2問(240分) 民事系科目第1問:2問(120分) 民事系科目第2問:2問(240分) 刑事系科目:2問(240分)
・2次試験… 1次試験と同様の内容について、口述式試験
現行試験は、学歴などは関係なく公正だったが、法科大学院ができたことで、入学に際して学歴でハンデのある人は「未修者コース」ではなく、ハイスコアありきの「既修者コース」に進まなければならなくなってしまった。このあたりの“事情”をふまえてプランを練ることが合格の鍵となる。
行政書士は、 役所や官公庁に提出する書類作成の代行を独占業務としている、いわば“書類処理のスペシャリスト”だ。資格試験については、平成17年に「行政書士試験の施行に関する定め」の一部が改正され、また今年度からは、試験科目・内容が以下のように変わった。
1、「行政書士の業務に関し必要な法令等」から、行政書士法、戸籍法、住民基本台帳法、労働法、税法を削除。
2、行政法の出題範囲を明確化するため、行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償及び地方自治法を中心とする問題と規定。
3、「一般教養」が「行政書士の業務に関連する一般常識」に変更され、その出題分野が、「政治・経済・社会」「情報通信・個人情報保護」及び「文章理解」と規定。
・行政書士の業務に関し必要な法令等(46題)・行政書士の業務に関連する一般知識等(14題)試験は、筆記試験によって行い、出題形式は「行政書士の業務に関し必要な法令等」は択一式及び記述式、
「行政書士の業務に関連する一般知識等」は択一式とする。試験時間は全体で180分
法令、一般知識ともに分野が絞られたことで全体像は見やすくなったものの、試験時間が長くなったことからも分かるように、前者に関してはより高い「法律的素養」が求められ、ハイレベルになると予想される。新試験の傾向と対策を知るためには、やはり専門的なスクールに通うのが得策だろう。
「“理系の弁護士”と呼ばれる弁理士の仕事は、技術的な創作や工業デザイン、業務上の信用を特許権、意匠権、商標権等の形で権利化するための特許庁への出願手続代理や、それらを取消・無効とするための異議申立て手続の代理業務だが、今後はライセンス契約の交渉や仲裁手続の代理を含む知的財産分野全般に渡るサービスを提供することが期待される。
平成13年には、大卒者以外は受験が必要だった予備試験が廃止され受験資格不要となり、「選択科目」は41科目から3科目を選択する形から、7科目のうち1科目を選択する形になるという大幅な改正がなされた。
また、選択科目に関して免除対象者が多いことで合格率は軟化傾向にあり、現在受験者にとっては「狙い目」の国家資格と言える。
・短答式試験…五枝択一マークシート(60問 210分) 特許法、実用新案法/意匠法/意商標法/意工業所有権に関する条約/意著作権法、不競法・論文式試験…必須科目(300分)、選択科目(90分)必須科目:特許法/意実用新案法/意匠法/商標法
選択科目:7科目のうちあらかじめ1科目選択し、それに属する選択問題を1つ試験時に選択して解答
難関度が緩和されたことで、文系の人も十分勝負できるようになった(民法系問題を選択できる)。しかし、出題は工業所有権法が中心であるので、やはりこの分野に関する知識、応用力は鍛えなければならない。また、論文式問題には慣れが必要なので、資格スクールも視野に入れるべきだろう。

まず、外せないのは、"街の法律家"と呼ばれる司法書士。市民が日常生活の中で法律知識を求められた際、その問題を分析・検証し最良の方法を勧め、各局面で要求される手続に則って処理することを生業にする。これまでは、不動産登記の仕事がメインだったが、平成15年からは簡易裁判所での代理権が与えられ、法律相談などの仕事が増加してゆくと予想される。
もうひとつ注目したいのが、議員主導型政府へ移行することを目的に導入された国会議員政策担当秘書だ。政策担当秘書は、特別職の国家公務員であるが、具体的には議員事務所に入り、調査や情報の収集・分析、議員の政策立案や立法活動、議員立法の取りまとめなどのサポート職務を行う。
今回挙げた国家資格は、どれも最難関のもので初めから敬遠してしまうかもしれない。だが、闇雲に勉強するのではなく、明確な合格プランを練り、自分に合ったスクールなどを選びながら段階的に学んでいけば、決して取得不可能なものではない。まずは、チャレンジ精神を養うことから始めてみてはいかがだろうか。
転職に使える!資格図鑑 目次
(司法修習生・27歳・男性)