資格図鑑

第20回【語学系:非英語言語・アジア編】〜英語だけじゃ物足りない!〜

  あらゆる業態がグローバル化した現在、ワールドワイドなビジネスシーンで、英語の実力が問われることは多い。しかし、「英語ができればどこでもなんでもできる」と思っているなら、ちょっと待ってほしい。英語が公用語でない国の相手と取り引きするなら、必ずしも英語である必要はない。現地の個人や小規模事業者と仕事をするような場合、逆に英語がまるで通じないというケースも十分ありうる。

 

  英語はあくまで、ある一定以上の水準のビジネスパーソンが、「世界公用語」として会得しているというものだ。汎用性は高いが、双方がそれなりの英語力を持っていなければ意味がない。もしあなたが活躍の場を特定の言語圏に定めるなら、その地域の言葉を、たとえ日常会話レベルでも会得しているほうが、場合によっては英検1級やTOEIC900点の人材よりよっぽど“使えるヤツ”になれるわけだ。

 

  ここではそんな“地域限定プレミアム”な言語のチカラを証明する資格を紹介しよう。今回は、経済好調な国も多く、多種多様な可能性を秘めた国々がひしめく日本のご近所、アジア各国編だ。

語学系:非英語言語・アジア編
漢語水平考試 (国家)
漢語水平考試(HSK)は、日本の文科省に相当する中国教育部が実施する中国語能力認定試験で、中国語を母国語としない中国語学習者向けに、世界38カ国で実施されている。これまでも日本で中国語はポピュラーな存在ではあったが、加えて今や中国は、説明の必要もないほどの、世界有数の工業生産地かつ消費地。中国語能力を持つ人材の価値は、ビジネスの世界でも高まっているわけだ。試験は基礎・初中等・高等に分けられ、得点によって基礎は1〜3級、初中等は3〜8級、高等は9〜11級と認定される(基礎3級と初等3級は同等)。HSKの級位は、中国の大学への正規留学をはじめとする就学・就業の際に求められる語学力の証明になることが公式にうたわれており、高位級の獲得はキャリアアップに直結すると言えるだろう。
試験内容
基礎:ヒアリング、文法、読解(計140問・制限時間135分)
初中等:ヒアリング、文法、読解、総合穴埋(計170問・制限時間145分)
高等:ヒアリング、文法、読解、総合表現(計120問・制限時間105分)
    作文(400〜600字・制限時間30分)、口頭試験(試験時間20分
ポイント
3級は中国の理工系大学の、6級は文系大学の学部入学最低基準に相当する。また9級以上は「中国語で責任ある仕事を担当するのに必要とされる語学力」を有するとされている。
問い合わせ・ホームページ
使える度チェック
取得者コメント
学生時代、第2外国語としてかじったのがきっかけです。中国語を使うような仕事に就いてるわけではないですが、そうなれたらいいなと思って、上級級位目指してがんばっています。
(商社・25歳・男性)
やっぱこれからは中国でしょ。まあ段ボールだなんだと騒ぎはありましたが、10億人もいれば変な人もちゃんとした人もいるわけで、その見極めにもやはり直接会話できる力は不可欠です。
(食品・35歳・男性)
実用タイ語検定試験(公的)
タイは東南アジアの文化・経済の中心地であり、猥雑な活力と安らぎの癒しをあわせもつ懐の深さに、熱狂的なファンも多い。伝統的に親日的気質が強いとされ、意外と過ごしやすい気候もあいまって、若者は旅行やグルメに、現役世代はビジネスに、そして最近ではリタイア世代が第2の人生を過ごす楽園として、中長期の滞在者も多くなっている。ただし、そのタイで過ごすのに避けて通れない肝心のタイ語は、独特の発音や文字などから、なかなか学習が難しい。そんな日本人タイ語学習者の語学力確認を目的として行われているのが、この実用タイ語検定試験(タイ検)である。日本のNPO法人が実施している検定だが、在日タイ総領事館の後援を受けている。基本的に対象は日本人で、設問が日本語なのが特徴的だ。
試験内容
5級:筆記(初歩的な単語や文章の読み書き=カタカナとローマ字で出題・解答)
4級:筆記(初歩的な単語や文章の読み書きと聞き取り)
3級:筆記(日常生活に十分な意志疎通、簡単な書籍の読解)
2級:筆記(社会生活に必要な語学力、簡単な新聞読解、簡単な翻訳・通訳)+口頭試験
1級:筆記(翻訳・通訳者として通用する高度な語学力)+口頭試験
ポイント
タイ検とは別に、タイ政府公式の語学力検定「ポーホック」というものがある。ただしタイ国内でしか受験できないため、現地在留者向け。タイで業務を行う日本企業への就職を希望するなら、タイ検でも十分だ。
問い合わせ・ホームページ
使える度チェック
取得者コメント
学生時代に旅行に行ってハマりました。そのときはカタコトの英語でコミュニケーションしましたが、ぜひ現地の人とスムーズな意志疎通をしてみたい! そう思わせる土地です。
(出版・33歳・女性)
仕事でなく、純粋に私的な目的で勉強した。タイというか、バンコクが好き。一昔前より近代化が進んできたけど、相変わらずいいかげんでハチャメチャで、でも人情があったりして、すごく楽しい場所。
(輸入・33歳・男性)
「ハングル」能力検定試験 (民間)
近くて遠いといわれるお隣、朝鮮半島の言語「ハングル」を学習する日本人を対象とした検定。民間NPO団体によるものだが、設立15年・実施28回を数える歴史ある検定で、累計受験者数は15万人に迫る。韓国との間では、食品や観光以外にも、ピークは過ぎた感があるがまだまだ根強い韓流ブームや、韓国側での日本文化の開放によって、コンテンツなどの分野でもビジネスチャンスが広がってきており、朝鮮語能力の保持はキャリアアップのチャンスに結びつく期待が高い。5級から1級まで6段階(準2級が存在)あり、5級は挨拶や自己紹介のレベルだが、1級では報告書やエッセイが書け、複雑な議論ができる水準が求められる。なお2級以上では、南北での言葉の違いの理解も問われるなど、特殊な地域事情が試験内容を通して見えるのも、興味深い。
試験内容
※3級の場合:筆記(60分・60点中24点以上)+聞き取り(30分・40点中12点以上)計60点以上で合格
要求水準は「私的な話題のみならず、身近な社会的出来事を話題にできる。親しくない相手にも様々な意図をほぼ伝えられる。定型以外の表現を用いて挨拶できる。連語、慣用句、ことわざなども理解・使用できる。日記や手紙など比較的長い文章の大意をつかみ、接続表現や指示語の意味を正確に理解・使用できる。」
ポイント
「ハングル」とは厳密には朝鮮語で使われる文字のことだが、最近は音声会話も含めた朝鮮語全体をハングルと総称する流れもあり、この検定でも全ての級にヒアリングが、1級には口頭による2次試験がある。
問い合わせ・ホームページ
使える度チェック
取得者コメント
独学で3級を取りました。もちろん簡単ではなかったけど、それほど敷居も高くなかったです。独特の文字も、法則をつかめば意外と早く理解できますよ。
(エネルギー・32歳・女性)
在日3世だけど日本人社会で育ったのでまったく知識ゼロでした。でも自分のルーツを実感する一つの手段として取り組み、なんとか4級取得できました。今後もさらに挑戦するつもりです。
(小売・25歳・男性)
その他の注目資格!

 先進国に匹敵する経済大国であるブラジル・ロシア・インド・中国をBRICsと称するが、このBRICsに追いつけ追い越せの勢いで発展を遂げているのがVISTAと呼ばれる5カ国だ。この中には、ベトナムとインドネシアというアジアの2カ国が含まれている(残りは南アフリカ・トルコ・アルゼンチン)。ベトナム語には有力な検定が存在しないが、インドネシア語にはインドネシア語技能検定試験がある。政情が安定しないながらも、豊富な地下資源と労働人口の多さから好調な経済成長を果たし、さらなる発展も期待されている。南アジアの「やればできる子」が伸び盛りの中、将来を見越して勉強を始めておくのもいいかもしれない。

 忘れちゃいけない、中東もれっきとしたアジアである。国連公用語であり、派生語も含めれば中東から北アフリカ、南欧まで20以上の国・地域で使われているアラビア語でも、この秋から実用アラビア語検定試験が開始されることとなった。中東の石油は日本経済の生命線であり、それだけでもアラビア語は非常に重要なビジネスツールと言える。さらに最近は、オイルマネーを背景にUAEのドバイなど、高層ビルや高級ホテルが建ち並ぶ観光・ショッピング・レジャーの一大拠点を築く地域も出てきており、今後は第2次・第3次産業分野でも、取引が拡大していくのは疑いない。今から語学力を蓄えれば、近い将来強力な武器となるだろう。

 大きな可能性を秘めたアジアは、どこを切ってもチャンスがいっぱい。しかもその地域とのビジネスでオンリーワンな存在になれるとくれば、チャレンジしたくならないほうが不思議ってもの。さあ、あなたは何語でシゴトする?

「アジア系言語力」を活かして転職する

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