あの仕事のリアルに迫る…人気職種シミュレーション イメージ

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ネットワークSE(エンジニア) ネットワークSE(エンジニア)
  顧客とチームを結ぶ、円滑なITプロジェクト推進者

 大手企業をはじめ自治体や銀行、コンビニエンスストア、家庭のPCに至るまで、コンピュータネットワークは今や基本的な社会基盤としてあらゆる場所に普及している。インターネット、光ファイバ(FTTH)、CATV、携帯電話、無線LANまでも含めて、そのすべてが「ネットワーク」によってつながっている。回線の種類とサービスの内容に応じて最適なハード、ソフトを選択して安定的な運用を実現する専門的な職種がネットワークSE(エンジニア)だ。別項で取り上げたSE(システム・エンジニア)に必要な資質、能力に加えてネットワークに関する専門的な知識・技術が要求される。
 国や行政、地方自治体による積極的な規制緩和やインフラ整備が進んだ結果、今やあらゆる「システム」がネットワークを介してつながっている時代。当然、通常のシステムを扱うSE以上に需要が急増している職種でもある。手腕を認められればプロジェクトの受注側だけでなく、発注側(顧客)への転身も可能。今後さらに求人増が予想される有望な職種だ。


仕事シミュレーション コンテンツ開発 ネットワークSE・つなみさんの場合
 
POINT
 

※1
「知識と技術の習得」>>

 

※2
「ハードよりもソフト重視」>>

 

※3
「VoIPやIPv6」>>

 新卒で大手システムインテグレーターに就職して、SEとして4年間すごしました。3年目からは顧客企業からの要望もあって、大規模なネットワークを手がけるプロジェクトが増えてきて、必要に迫られて(笑)TCP/IPといった基礎から必要な資格を取得したりして知識と技術の習得(※1)に努めました。大学は一応理系。でも機械工学が専門だったので通信やネットワークを本格的に学んだのは初めてでした。

 4年目に通信大手の子会社向けのプロジェクトを手がけたのがきっかけで、顧客企業に転職しました。ネットワークSEとしてキャリアを始めて2年目になります。一般的なSEと比べて専門的な知識や技術に関する理解力が求められるので気がぬけない仕事ですが、最初に基礎的なことをきちんと学んでおけば、あとは常に新しいハードやソフトに関する情報のチェックで仕事上困ることはないと思います。

 仕事のイメージとしては、一般的なSEが“コンピュータ中心”なのに比べて、“ネットワークが中心”という感じでしょうか。ハードよりもソフトが重視(※2)されるのも少し違いますね。必要な機器やソフトウエアは外資系ベンダーをはじめ日本の企業にも“業界標準”のようなものが定着していて、担当するエンジニアが熟知している場合が多いので、基本的には顧客や自社内スタッフとコミュニケーションをよくしておくことが大切ですね。

 いまこの業界で一番の課題は、処理速度の向上やセキュリティ面のケアです。証券取引所や銀行のトラブル、情報の流出などは、やっぱりネットワークならではの新しい課題と言えるかもしれません。

 システムそのものも普及し始めたのはこの4〜5年。ネットワークはまだまだ発展の過渡期なので、電話回線や光ファイバなどの優先網から無線網へと移行していく過程で仕事の内容もどんどん専門的になっていくかもしれません。個人的にはVoIPやIPv6(※3)がどのように実用化されて普及していくのかに興味があります。顧客からの問い合わせも増えていますから、常に最新情報のキャッチアップは欠かせませんね。

 だんだんと大型プロジェクトのサブリーダーを任せられるようになったので、当面の目標はプロジェクトマネジャーになること。キャリアアップの目標は今後の業界の動き次第ですね。画期的な技術や製品がリリースされれば、ベンチャー企業を立ち上げるのも夢ではないかもしれません。

天の声
辻 秀典さん
Profile
株式会社情報技研
代表取締役社長
情報セキュリティ大学院大学
客員助教授
辻 秀典さん
東京工業大学工学部情報工学科卒業、東京大学大学院工学系研究科情報工学専攻修了。博士(工学)。株式会社インターネット総合研究所を経て、株式会社情報技研(http://www.aiit.co.jp/)を設立。各種技術コンサルティングをはじめ、次世代情報システムの提案、さまざまな情報システムの開発・構築業務に携わる。代表著書にインプレス刊「できるLinux」シリーズ。
 
 
「キャリアのはじめに知識と技術の習得を」

 ネットワークエンジニアとも呼ばれるように、SEのなかでも専門的な知識や技術が必要とされる職種です。できれば教育・研修制度の充実している会社を選んで、しっかりと基礎から体系的な習得をお勧めします。ネットワークは現在のITの中心を担うだけではなく、進歩が非常に速い分野。小手先の技術や知識ではすぐに役に立たなくってしまいます。そうならないためにも、基礎を習得しておくことが、新しい技術や知識の吸収を行うための結果的な近道となるのです。

 また、ネットワークを介して数多くのシステムが複雑に絡み合うことによって、トラブルや障害の可能性は高くなります。現場での対処やトラブルシューティングなどの場面に遭遇した時になって専門書やマニュアルに頼ることのないようにしっかり専門知識や技術を身につけておくべきですね。


一般的なSEよりもエンジニアに近い専門職だけに、大手企業を中心に慢性的な人材不足が指摘されている。ネットワークが社会基盤として普及するにつれて、業界全体でネットワーク事業へのシフトが進んでいるためだ。今後は一般のSEにもネットワークエンジニアとしての資質が一層求められるだろう。専門的な知識や技術の習得が一番のハードルだが、身につけただけの待遇や報酬も期待できる。顧客企業への転職、独立の可能性も高く、いま目指すべき意義のある職種といえる。

 

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