エンジニア的知の開拓 テクノマエストロへの道 第5回 “当たり前”を疑い、イノベーションを起こそう

世界を動かすエンジニア出身の実力者が指南! スペシャリストとしてのシゴト術、キャリアパスの描き方などを参考に、今の“自分”の磨き方を探っていこう

株式会社BookLive 執行役員 事業統括本部 本部長 三代川 裕一氏

第5回 “当たり前”を疑い、イノベーションを起こそう

株式会社BookLive
執行役員 経営企画本部 本部長

三代川 裕一

2001年凸版印刷株式会社に入社。着メロサイトやゲームサイトの企画運用を担当し、2003年にはKDDIと協業で携帯コミックサービスの立ち上げを担当。2005年分社化、株式会社ビットウェイへ。広告事業の立ち上げなどを担当し、モバイルコンテンツのビジネスを担当。2011年1月の株式会社BookLiveの設立時には立ち上げから参加し、現在は執行役員兼事業統括本部長として事業戦略の中核を担う。

デジタル化の黎明期から蓄積したノウハウは、他社の追随を許さない

まず、電子書籍ストアを運営する当社の成り立ちについてですが、母体は凸版印刷であり私自身もデジタルコンテンツの走りから出版社とビジネスをつくってきた経歴を持っています。

親会社の株式会社ビットウェイを立ち上げたのも、印刷物がデジタル化する中で「雑誌の誌面をインターネットに流しませんか?」と提案したことがきっかけですし、ISP事業者のポータルサイトにコンテンツを提供し課金するというビジネスモデルもそのときにできました。

ビジネスが好評を博したことで出版社もどんどんコンテンツを提供してくれるようになり、その流れで電子書籍もはじまっていきました。2003年には、当社代表・淡野や私が中心となり携帯電話初の本格的なコミック配信を開始し、600億円の市場の先駆けとなったという自負があります。

このように、デジタル化の黎明期よりサービス運営、コンテンツ提供に携わってきましたから、必然的に全方向的なノウハウが蓄積されています。携帯電話の中でコミックを読む際にどう見せるかなどをストイックに追及してきました。

もちろん、私たちだけが「こうだ!」と思っても、作品は出版社や作家の想いを反映して初めて実現できるものですし、技術だけが先走ってもユーザーに受け入れられなければダメです。このようにトライ&エラーで経験値を蓄えてきた会社は他にはないと言えるでしょう。

総合電子書籍ストア『BookLive!』とは?


◎総合電子書籍ストア『BookLive!』とは?

マンガ・書籍・写真集・雑誌など、国内最大級の品揃えを誇る総合電子書籍ストアです。300社を超える出版社の作品を扱うほか、独自コンテンツの制作にも力を入れています。 購入した作品は、Android OS搭載スマートフォン・タブレット、Windows OS搭載のPCなど最大3端末に同期でき、読みたい時に、ライフスタイルに合わせた場所や端末から作品をお楽しみいただけます。


電子書籍の普及は、インフラをサービスと共に考えられるか否かにかかっている

一般に電子書籍市場は成長し、普及していくと言われていますが、本当にそうでしょうか。電子書籍は専用端末、タブレットPC、スマートフォンなどのデバイスがあってこそ、いつでもどこでも閲覧できる便利なものとなります。ただ、現在発売されているデバイスは価格が高く、読書が好きな人たちに広くリーチできているとはなかなか言えないでしょう。

つまり、デバイスが浸透しない限り、電子書籍も普及しないのです。“その先にある”サービスのことばかりを話していても、「電子書籍は知っているけれど、どこに売っているかわからない」といった致命的なギャップを埋めることはできません。これが、電子書籍市場が抱える課題です。

電子書籍は身近になっているのに、なぜ届かないのか。課題解決のヒントは、たとえば「インターネットの仕組み」に隠されています。昔は高額で売られていたモデムも今では無料提供が当たり前になっていますが、これは現在のインターネットの普及と密接に関わっています。他には、「PS3」も近い事例と言えるでしょう。デバイスのメーカーとしては赤字でも、そこに乗せる魅力的なコンテンツ(ソフト)を提供するプロバイダーとしては、利益を挙げることができています。

Amazonの「Kindle」は電子書籍市場における第一の成功者ですが、再販制度や価格統制のないアメリカのビジネスライクな出版文化が大きな成功要因となっていますが、やはり電子書籍を普及させるためには、デバイス、コンテンツ含めた「インフラ」をサービスと共にとことん考えていかなければなりません。そして、そこまで本気で考えているのは、『BookLive!』だけだと思っています。

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