エンジニア的知の開拓 テクノマエストロへの道 第5回 “当たり前”を疑い、イノベーションを起こそう

世界を動かすエンジニア出身の実力者が指南! スペシャリストとしてのシゴト術、キャリアパスの描き方などを参考に、今の“自分”の磨き方を探っていこう

技術者であり、経営者であり、ユーザーでもある。これが新しいものを生み出すスタンス― 藤本勝寛

紙で実現できることに利便性が加わり、「新しい本のかたち」が出来上がる

『BookLive!』は、マルチデバイス対応、共有書庫の実現、ユーザーインターフェースの統一など、培ってきた技術・ノウハウにより、ユーザビリティを高めていますが、これだけだと真似をされてしまいますから、どう使うかまで提案することが求められます。一定のリテラシーがないと使えないというのはナンセンスですから、アプリを開く、探すというところからUIを考え、わかりやすく階層を浅くして離脱を防ぎ、目的に辿り着いてもらう。「オールインワンパッケージ」でサービスのあり方を考えています。

紙で実現できることを実現させ、さらに利便性を高めていくことができれば電子書籍は間違いなく普及します。これは確かです。ただ、残念ながら今は紙の方が便利なんですよね。本屋さんに行ってお金を出せば誰でも本が手に入りますから。電子書籍の場合、買うにあたって「じゃあ、まずスマートフォンを出してください。『BookLive!』アプリのインストール方法は…」というコミュニケーションからはじめなければなりません。

お客さんに自然に使ってもらえるサービスを追及していく中で、世の中に利用できるものがなければ、自ら創り出すしかない。先に述べたインターネットの仕組み同様、デバイスで利益を出さずとも、インフラを整えて普及させることに注力していけば、その先の書籍販売、映像、リアルECなどのコンテンツ提供で利益を出すことができます。

もちろん、これは一朝一夕でできることではありませんが、着実に実現させていきたい。それをいち早く実現できるのは、「新しい価値を創造することで、楽しいをかたちにする」ことをモットーとする私たちです。ぜひとも、“新しい本のかたち”を生み出したいと思っています。


常識を疑い、現状に甘んじることなく、世の中を動かす仕事を

最後に、私が常々大切にしていることをお話しします。それは、世の中の事象を全て「当たり前だと思わない」ことです。水道の蛇口をひねれば水が出る、これは僕らにとっては当たり前ですよね。でも、水道というものを考え開発した人は 大多数の人が疑うことなくしていた川や湖まで行って水を汲む作業に疑問を抱いたのだと思います。

引き継いできたものを当たり前とせず、「本当にこれでいいの?」という発想に変える。技術者であれば、「自分の技術は本当に最先端だろうか。こんなプログラム、インターフェースがいいんじゃないか?」と問いかける。価値の創造はここから始まります。iPhoneのタッチ&フィールという発想も、「キーボードのあるパソコン」という常識を覆したからイノベーションなんですよね。

電子書籍の分野でも、たとえばリアルタイムでGPSと連動して、旅行雑誌で行きたい場所を探す作業が便利になるといいですよね。該当する地図番号をタップするだけで地図が浮かび上がれば、付録の折り畳み地図を道端でいちいち取り出して広げることも、破れたり、なくしたりすることもありません。

こういう「あったらいいな」というアイデアはいくらでもありますが、それを一つひとつ具現化してユーザーに届けられるのは開発者だけです。私たちは、電子書籍というフィールドで新しい価値を創造したいと思っています。市場の拡大の中心で活躍し、予測を超えたイノベーションを起こすなんて最高にエキサイティングな体験ですからね。

仕事のための仕事はやめましょう。仕事はあくまで自分自身を幸せにするための手段に過ぎませんから。

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