転職失敗談2
考え方の違う上司
ゼネラリスト志向の上司と、スペシャリスト志向の部下Jさん。二人だけの小さな部署で、考え方の違いに違和感を感じつつもJさんは我慢し、勤務を続けていた……。(→後編はこちら
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スペシャリスト・ゼネラリスト
Jさんは某社でネットワーク管理担当の職についていました。この企業では人件費削減の点から極力社員を抱えない方針で、Jさんの雇用形態も契約社員。彼の所属する部門も、他は上司である社員のM氏ひとりという少数構成です。この「上司と二人きり」という状態が、Jさんにはかなり重荷になっていったのです。

 Jさんは専門学校を出て以来この道一筋、現場で働くことが喜びの典型的なスペシャリスト。しかし上司は大学卒で、常に「会社の中の自分」というものを強く考えているゼネラリスト的発想の持ち主。社員と契約社員という立場の違いも手伝って、ちょっとした会話の中でもJさんが違和感を覚えることもしばしばでした。

 そんな中1年、2年と契約が続き、安定して仕事をこなしてゆくうちに、M氏との関係はますます微妙なものになっていったのです。
 「会社で働いている以上は、会社のことをまず考えろ。現場で作業ばっかりしていても先は見えてくる。いくら技術者でも、技術だけではこの先食っていけないぞ」
 M氏はJさんの不安定さを諭し、自分と同様にゼネラリストになれと説きはじめたのです。
 正直、Jさんはこの会社の仕事は気に入っていましたが、会社自体はそれほどでもありません。この会社で働くには、契約社員という程良い距離感と収入が快適でした。
 しかし、M氏にとっては唯一の部下が、自分の時間と技術を切り売りする契約社員という立場であるのがどうももどかしいらしく、こちらも容赦しません。
契約技術者のプライド
「この会社でずっとやっていくなら、今の仕事ぶりじゃダメだ。もっと昇進や給料のことをシビアに考えろ」
 と、今まで以上に様々な“業務”を課すようになりました。ある時は予算会議に出ろ、ある時は出張だ、ある時は……。これでは契約社員なのか正社員なのか分かりません。
 M氏は自分と同じスピリットをJさんにも芽生えさせようと躍起です。

 しかし、技術力を軸に仕事を得ているJさんにとって、契約社員であることひとつとってもプライドがありました。しかも、ハナから会社人間になるつもりもありません。かえって
 「契約社員として技術力を提供してるんだから、それ以上の“忠誠”を求められても困る」
 とプライドが傷つき、M氏をうざったく感じるばかり。
 「こんな理解の無い上司はもういやだ。そろそろ契約の切り時かも……」
 と思うものの、行き着くのは収入面の不安
 「Mさんとは合わないけど、仕事そのものは嫌じゃないし、ここ(会社)にいる限りは安定収入に恵まれる……」
 我慢すれば我慢するだけ、毎月決まったものが入ってくるのです。
 「どんな仕事にも不満はあるだろうし、これくらいのことで辞めたらダメだよなぁ」
 M氏にストレスを感じるたび、Jさんはそう自分自身に言い聞かせ、勤務をつづけていたのですが……。

(→後編に続く)

pen2 上司との不協和音を「これくらいのこと」と割り切り、安定収入を優先させていたJさん。しかし事態は急転直下。そんなことも言ってられなくなってしまう。Jさんの転職活動は……。次回、後編へ続く。
・…→ Text & Illustration 山本ちず
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