転職失敗談2
キャリア・アップの名の下に
所属部署閉鎖で、自分で転職・異動先を探すことになったHさん。社内転職を希望して活動をはじめたが、希望する仕事に恵まれず、同僚も社外へ仕事を求めていくが……。(→前編はこちら
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「キャリア・アップ」の日々
所属部署閉鎖でキャリアセンター勤務となったHさん。3ヶ月の間に新しい所属先か勤務先を探さないと、退職することになってしまいます。
 会社に残りたいHさんは、社内転職活動の日々がはじまりました。
 キャリアセンター勤務社員は、会社に籍を置いているものの、出社の義務がありません。最初の一週間Hさんは、志望動機や今後のキャリアプランをまとめたりして自宅で過ごしました。
 しかし、たまに会社に出勤し、同じ「キャリアセンター」仲間になった同僚などと会って情報交換をすると、
 「どうせ仕事探すんだったら、他の会社にしようと思ってる」
 「知り合いから誘われてた話があるから、そっちにいこうと思って」
 「良い機会だから、友達と会社をやる」
 と、社外転職派の意外な多さに驚くことになりました。
 社内転職の難しさを話し合おうと思っていた来たところへ、会社の不満を話し合う同僚の姿を目の当たりにして、Hさんは自信をなくし、疎外感を感じてしまいます。

 それでも、翌週からHさんは社内転職活動を開始しました。全国の支社・部門を回り、自分を売り込む日々です。
 自宅でまとめた経歴書だけでなく、応募先の部署にあった企画を新たにまとめ、持ち込むことも忘れません。
 社内転職を選んだHさんは、社外に仕事を求めるよりは、いくぶん楽に仕事を探せると考えていましたが、実際はまったく違っていました。
転職活動の切り替え
社内といっても、他部署間の交流がない会社だったため、Hさんの扱いは普通の転職希望者とそう変わりなかったのです。
 過去の失敗や欠点などが、ツー・カーで伝わるということもありませんでしたが、逆に
 「こいつはいいやつだから、ぜひ使ってやってくれ」
 といった上司の推薦も通りません。第一その上司だって、いまは同じ「社内転職者」の身の上なのです。自分だけをたよりにやっていくしかありません。

 そのことに気づいたせいか、タイムリミットぎりぎりになって、Hさんを受け入れてもいいという部署が現れました。ところがその部署というのが、またしても社内外に競合が多い上、Hさんのやりたい開発とは少々違う部署。有り体に言えば、心底好きな仕事ではなかったのです。会社に残るなら仕事を我慢し、またイチから仕事の覚え直しになります。
 Hさん悩んだ末、同じ競合と争って仕事をするなら、自分の経験の生かせるところに行きたいという結果にたどりつきます。周囲の社外転職派の多さに刺激された部分もあったでしょう。Hさんは辞表を提出。遅まきながら社内の転職活動を、社外に切り替えたのでした。

 しかし、Hさんの転職は困難を極めました。Hさんの希望する開発は衰退はしていないもののここ数年伸び悩んでおり、人員を補充する企業が少ないのです。
 かといって、募集の多い分野に転ぼうとしてもHさんに実際の開発経験はありません。未経験者の受け入れはこれまたぐっと少なくなります。
 「キャリアセンター時代に、この分野に応募しとけば……」
 自分のしたい事にこだわりすぎて、キャリアプランを忘れていたことに気づいたHさんでした。。
サクセスポイント
今回はココが問題!
今できる転職、将来したい転職
社内がダメなら社外へ、という考えそのものは悪くはありませんが、その考えによってキャリアアップのチャンスを無くしてしまったのはたしか。今できる仕事だけで転職を考えるのでなく、自分の5年後10年後を描いて、ひとまず経験を積むのも転職のステップです。
これでサクセス!
社内転職
社内転職制度を導入している企業も増えていますが、実態は実際の転職活動に近いシビアなものから、異動願いに近いものまで実に様々。転職を考える人には大いに有効な制度なので、キャリアアップにうまく活用しましょう。
ただし、小さい企業の場合、応募した事実が所属の部署に広まって気まずい思いをすることもあるので注意も必要。
・…→ Text & Illustration 山本ちず
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