転職失敗談2
他にもいろいろ
雑誌編集の仕事についたものの、あまりの激務に身体も心も息切れしてしまったYさんは、仕事ペースが安定している業界紙の編集へ転職を希望するが……。(→後編はこちら
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死ぬほど忙しい
学生時代から本好きだったYさんは、大学時代からアルバイトをしていたある編集プロダクションに就職し、その後もエディターとして様々な雑誌記事に携わっていました。
 1〜2年目は勉強と失敗の繰り返しで過ぎました。3年目は慣れが出てきた分仕事にも欲が出て無我夢中で過ぎました。
 そして4年目、ふと一息ついた時にYさんは初めて、忙しい毎日に抵抗を覚えるようになります。
 入社から息継ぎもせず走り続けてきましたが、はたして今のような働き方を、これからもずっと続けていく自信はあるのか?
 編集の仕事というのは時に激務を伴うもので、土日返上、徹夜の作業も周期的に巡ってきます。しかも年をおうごとに徹夜勤務のペースがアップしてきています。
 毎回入稿日を迎えるたびに、「これが済めば」「これが済むまで」と自分を奮い立たせていますが、ある時ぷつんとスイッチが切れてしまったようなのです。
 良く使う言い回しに「死ぬほど忙しい」というのがありますが、Yさんの場合
 「『死ぬほど』じゃなくて、ホントに死にそう。マジでマジで」
 を口癖にするようになり。たまに休日が巡ってきても寝て体力を回復させることで精一杯。つき合っていた彼女とも、すれ違うばかりです。
 編集は好きでも、もう少し人間的なペースで仕事をしたいと、同業種で転職を考えるようになったのです。
優等生的面接
----とにかく無茶なスケジュールが無い、身体が楽なところ。
 その観点でYさんが目をつけたのは専門書中心の小さな出版社でした。主力商品も契約販売のみの業界専門誌。ハッキリ言って面白みには欠けますが、徹夜してまでというスケジュールとは縁遠そうです。
 早速、編集者の募集に応募し、履歴書と職務経歴書、簡単な仕事ファイルをまとめて、アポイントメントを取りました。

 そして面接の日。Yさんの前に現れたのは、カチッとスーツを着たマジメそうな中年男性。Yさんが目にした編集者といえば、ジーンズなどのラフな服装で出社し、そのままの格好で会社に寝泊りしているような姿ばかり。面接担当者のいかにもサラリーマンといった雰囲気に、Yさんは少々違和感を覚えます。
 もっとも、この日ばかりはYさんもキチンとスーツを着ていたわけですし、出版社、それも業界専門誌ともなれば、自ずと社風も違ってくるのかもしれません。気をとりなおし、Yさんは面接にのぞみました。

 業界経験がモノをいったのか、よどみない自己アピールのせいか、面接担当者はYさんに興味を持ったようです。
 「うちに来て頂くとしたら……」
 としきりに、入社後を想定した説明や質問を繰り返します。
 「もちろん編集としての採用になるのですが、弊社は専門誌ですので、業界を知って頂く為にも、最初はいろいろと勉強してもらうことも多いと思います」
 「はい」
 「編集の仕事だけでなく、お客さんのところにも言ってもらうし、営業のようなことや他にもいろいろ経験してもらうかもしれません。それでも出来ますか?」
 「今までとはちがうジャンルを編集するわけですから、まずはなんでも経験することが大切だと思います。ですので出来る限り頑張りたいと思います」
 面接官とのやりとりに確かな手応えのようなものを感じていたYさんは、それをより確かなものにしようと、ついつい優等生的な回答を重ねていったのでした。

(→後編に続く)

pen2 面白みよりも、安定性・働きやすさを優先し、業界専門誌の編集部に転職したYさん。編集者としてのキャリアを活かそうとしたが、企業がYさんに求めたものは……?!次回、後編へ続く。
・…→ Text & Illustration 山本ちず
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