転職失敗談2
他にもいろいろ
模範的な面接対応で見事転職をはたしたYさん。しかし自分が発した回答にしばられ、思わぬ仕事をすることに……。(→前編はこちら
バックナンバー
ルーティンワークの職場
面接の結果はその日の夜にも出ました。追いかけるようにYさんの自宅に電話が入り、「是非来て頂きたい」との言葉をもらったのです。
 喜びに小躍りしながら、Yさんは早速退職の手続きをとることに。転職先からはとにかく早く、出来るだけ早く、とせかされていたこともあり、自分が進めていた仕事も、半ば強引に後任者にひきつがせ、2ヶ月そこそこで退職にもっていったのです。

 そして一息つく間もなく、新勤務先への初出社。
 編集の仕事自体は経験のあるジャンルですので、仕事の手順を覚えるのにそう時間もかかりません。また、当初の予想通り、業界・分野に特化した専門誌の仕事は、大枠でルーティンワークといってもよく、生き馬の目をぬくような仕事をしてきたYさんにとって、精神的にも肉体的にも余裕のある仕事といえました。
 周囲の同僚たちはというと、マジメを絵に描いたタイプが主流。よく言えば落ち着いた大人しい職場で、悪く言えば覇気の無い職場という印象です。
 Yさんのように一般向けの媒体から来た人材はあまり無く、周囲は
 「どうしてうちに来たんだろう……」
 と困惑気味なのが伝わってきます。少々寂しい思いをしなくもありませんが、ひとまず自分の選択に満足しながら新しい生活をスタートさせたのでした。
「その他いろいろ」の実態
さて、2〜3ヶ月ほどして、すっかり職場になじんだ頃、Yさんは上司に呼ばれます。このとき、彼の直属の上司は面接に出た、マジメそうな中年男性の面接担当者でした。
 「仕事にはもう慣れたみたいだな。前の経験も生かしていろいろとやってくれてるみたいじゃないか」
 「まだ戸惑うことは多いですけど、なんとか教えてもらいながら……」
 「もう編集の仕事は覚えたようだから、そろそろ君にも、いろいろと任せていきたいと思っててね」
 「といいますと?」
 「取材にいってほしい」
 取材ならば、記事をまとめるため、今までも普通にこなしていた仕事です。何をわざわざ、とYさんが首を傾げていると、
 「取材を申し込むんだ。購読契約をしていない業界の企業に。それでいろいろ話を聞いて、その最後にうちの雑誌をすすめる」
 「はぁ」
 「そうして毎月購読契約をとってきてもらいたい。これはどの編集もしていることだから」
 それは、取材の名を借りた営業では……?というYさんの本音は次に続いた上司の一言で飲み込まざるをえなくなります。
 「来月から君にも数字を持ってもらうから」
 かくして、Yさんは翌月より契約目標を持つ営業兼編集となってしまったのです。
 慣れない営業活動、しかも
 「なに、自分は編集として採用されたのだから、本業はあくまで編集だ」
 と高をくくって、最初は編集の合間に思い出したように勧誘を行っていましたが、一向に伸びない営業数字に上司が彼を見る目も冷たくなってきました。小言の回数も増える一方です。
 「どうして自分が営業なんか……」
 早くも居心地の悪さを感じるYさんに、周囲の同僚たちはそっと声をかけました。
 「だから、どうしてYさんみたいな純粋なエディター志望が、うちに来ちゃったの?編集したいヤツはうちなんかに来ちゃだめだよ」

 この一言でとかくやること機敏なYさんは、次の職場を探し、転職活動を再開したということです。
サクセスポイント
今回はココが問題!
同業転職の注意点
勝手知ったる業界、仕事内容ということで、細かい仕事内容についての質問は、ついおろそかにしがちですが、同じ仕事でも会社によって背負うものは違ってきます。仕事に慣れたところをアピールするよりも、慎重になるべき。
これでサクセス!
付け足し質問に注意
付け足しのように説明されることに、意外に重要な内容や本質が隠れていることが多くあります。「最後にひとつ」などと、面接の終わりかけに付け足し質問することで、応募者の緊張がとけ、本音が引き出しやすいからです。面接での質問・念押しは甘く見ないこと。
・…→ Text & Illustration 山本ちず
バックナンバー

▲ページのトップへ