転職失敗談2
圧迫?面接
Mさんは3度目の転職活動に挑んだ。自己分析も自己アピールも完璧、面接に出た社員も彼のアピールに引き込まれた様子だったのだが……。(→後編はこちら
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新卒オンリー?圧迫面接
主に新卒採用で行われる面接手法に「圧迫面接」というものがあります。
一生懸命な受け答えをする学生に、わざと横柄な態度で対応したり、
「あなたは当社には向いていませんね」
といった意地悪な質問や、怒りをあおるような言葉を投げるなどして、その反応を見るのがねらいです。学生の本当の姿を知る為の一つの方法とも言えるでしょう。
ポテンシャルや人間性を重視する新卒採用では、この「圧迫面接」も珍しくない光景ですが、お互いが社会人同士で、なおかつキャリアそのものを問うことの多い、中途採用の面接では、当然の事ながらあまり見られない手法です。
ところが、最近では不景気から一つの募集に大量に応募が集中することも出てきました。人事担当一人で何十人という応募者をさばかねばなりません。無論日頃の業務はそのままに。担当者は疲労のせいか、期せずして「圧迫面接」をしてしまうことも……。

Mさんは過去2度の転職経験を持つ人物。転職理由もそれなりのものがあり、また3度目ともなると、さすがに勝手知ったもので、自分のアピールポイントも分かっているため、びっしり書き込んだ履歴書の他に、オリジナルの職務経歴書をつけるのを転職活動の常としていました。
盛り上がる不況話
そのMさんが、とある大手老舗メーカーに応募、面接が決まった時のこと。力作の職務経歴書を手にスキのない身繕いで、指定された会社を訪れました。
しかし、予定の時間の少し前に到着したにもかかわらず、担当者はなかなか現れません。通された部屋のついたての向こうから、なにやら指示する声が聞こえてきます。
「え?もう来たのか?いま……アレだから、Sさんちょっと出といてよ」
だみ声の、中年男性の声です。
そのやりとりの後すぐ、Mさんの前に線の細い、気の弱そうな中年男性が現れました。
挨拶、簡単な仕事に関する解説の後、Mさんからは履歴書を提出。加えて職務経歴書を差し出すと、一点一点解説を加えながら、キャリアを解説します。
その都度、目の前の面接官はこくこくと頷き、言われるがままに、子供のように熱心に話しを聞いてくれます。反論も質問もないものの、そのマジメな対応にMさんも多少の手応えを感じはじめます。
Mさんからの一通りの説明が終わると、再び会話の主導権は面接官に。そこで始まった会話は……
「最近はやっぱり不景気でなかなかいい仕事も少なくてねぇ……」
と、質問もそっちのけで、とつとつと不景気話に没頭し始めました。
「これは、景気が悪いから、なまじの採用はしないという牽制か?
と、Mさんは不安になるものの、面接官の話はとどまることもなく、時折はMさん自身の体験も提供しながら話は盛り上がっていきます。内容はともかく、面接で話が弾むのは悪いことではない、とMさんの気持ちもかなりほぐれてきました。
そのとき、面接会場にもうひとりの人物が入ってきたのです。

(→後編に続く)

pen2 面接に現れたもう一人の人物。この人物のためにMさんの、穏やかな面接風景は180度変わってしまった……。次回、後編へ続く。
・…→ Text & Illustration 山本ちず
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