転職失敗談2
圧迫?面接
担当者と感情を共有し、穏やかに進んでいた面接。ところが、もう一人の面接担当の出現により、Mさんの面接は180度激変してしまう……。(→前編はこちら
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もうひとりの面接官
担当者と不況話で盛り上がって(?)いたMさんの面接。大きな手応えはありませんが、担当者はMさんの話す内容には耳を傾けてくれ、力作の職務経歴書も興味深げに目を通してくれました。面接は穏やかに終了に向かうと思ったその時、面接が行われていた応接室に、突如もう一人の人物が入ってきたのです。
 「ああ、Sさん遅くなってすまん、すまん」
 ドアを開けながらそう話しかけたのは、でっぷりと肥えた押しの強そうな中年男性。Sと呼ばれた、Mさんの目の前にいる担当者とは正反対のタイプです。忙しいのか、暑そうに脂ぎった顔をハンカチでぬぐいながら、Mさんの斜め前、S氏の隣に座りました。
 「で、何だって?」
 Mさんに挨拶ひとつするでなく、S氏に面接の進み具合を聞き出します。
 「で、前の仕事ではこういう感じのこともしているようで……」
 S氏の履歴書を前に、Mさんが説明した内容をオウム返しで伝えていきます。この太った男性の方が上司なのでしょう。もともと大人しそうなS氏が、さらに縮こまっているようです。Mさんも息苦しさを覚えてしまいます。
 履歴書を眺めていた面接官が、にわかに大きい声をあげました。
 「えぇ?!3回目なのか、転職?そんな、ポンポン仕事変えるヤツはうちではダメだよ!」  いきなりの決めつけるような口調にカチンときたMさん、反撃に出ました。
 「確かに回数は少なくないかもしれませんが、無意味な転職ではありません。転職を通して経験やキャリアを積むこともできました」
急転直下
「ふーん、キャリアねぇ……」
 太った面接官は、手にしていた履歴書をポンと机の上に投げ出し、椅子の背もたれに体重を預け反り返るような体制になると、皮肉な笑みをうかべ、そこではじめてMさんの顔をまじまじと見つめました。
 「今までの経歴は履歴書だけでは分かりにくいと思いますので、別紙にまとめた職務経歴書も持参しています。こちらをご覧になっていただけませんか」
 「職務経歴書?そんなのも持ってきてんの?ま、どっちでもいいけど」
 さも面倒くさいといわんばかりに答え、ポケットからタバコを取り出し、ふかしながら続けます。
 「だいたいねぇ、この不況で簡単に仕事が決まると思うのが間違いなんだよ。あんたぐらいの人間はね、山ほど応募してきてんの。こないだの、何て言ったかな?アメリカの……」
 「は、MBAですか」
 「そう、そのアメリカの資格とかとった人も、応募してきてるの。それくらいしないと今はダメなんだよ」
 完全にMさんを見下す姿勢の面接官に、怒りを覚るMさん。この人物が入ってくるまでは結構いいムードで面接が進んでいただけに、戸惑いを隠せません。
 一縷の望みをかけて、自分のことを評価してくれそうだった、もう一人の面接官・S氏に視線を向けてみましたが、彼は太った面接官が入室した時から、ほとんど口を開かず、終始うつむいて座っているばかり。とてもMさんのことを取りなしてくれそうにありません。
 そんなS氏の姿と、人を馬鹿にしたような面接官の両方に失望したMさんは、急速に面接への熱意を失い、会話もとぎれがちに。
 その時です。それまで黙り込んでいたS氏が、積極的に口を開きました。
 「あのっ、特にご質問も無いようですので、こ、このあたりでっ」
 上司の面倒くさそうな雰囲気を察知したときから、彼はこの台詞を発するタイミングをずっと狙っていたようです。
サクセスポイント
今回はココが問題!
数ある応募者
今回の問題点は応募者であるMさんというよりも、面接に出た社員側にあります。しかし、面接官は一回の募集で非常に多くの応募者と接し、多くの時間を割いて面接をすることになります。面接官の限られた時間を有効に活用するためにも、その点は理解しておくべきでしょう。
これでサクセス!
面接の行方
採用の行方は、人事権限のある人に行き着きます。面接でどれだけいい結果が出ようとも、後日社内での判断で採用に結びつかないこともあります。一担当者の反応だけで安心できません。
・…→ Text & Illustration 山本ちず
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