転職失敗談2
会社ごっこ
様々な仕事を経験し、やっと正社員としての転職をはたしたOさん。転職先は手堅い企業。はじめての「正社員生活」に期待はふくらんだ。しかし、その企業体質は予想以上に古く、Oさんは愕然とする……。(→後編はこちら
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はじめての正社員転職
不況の折り、正社員になることも難しい昨今です。アルバイト、契約社員、派遣とさまざまな形態で仕事を続けてきたOさんが、ようやく正社員として転職が決まったのは、大学卒業から数年後のことでした。
 「やっと掴んだ正社員の仕事、少々のことがあっても辛抱しないと!」
 固く心に誓って初出社の日を迎えました。
 Oさんの転職先は、手堅い経営の小さな専門商社。社内の主なメンバーは経営者の身内、知人、知人の紹介で入社した人物などで手堅く固められており、Oさんは社内でも珍しい一般から募集した中途採用者でした。
 珍しい中途採用者ということで、社員からは好奇の目で見られることが予想されました。しかし逆に正社員就職をはじめて経験するOさんにしても、どんな生活が待っているのか期待と不安があったのです。

 さて初出社の日の朝、Oさんの紹介と挨拶は、朝礼の場を借りて段取りが組まれていました。
 「まず、社長から朝の挨拶があって、次に当番の社員がスピーチをします。その後の「連絡事項発表」のところで、Oさんを紹介しますので」
 と、あらかじめ人事部長との打ち合わせも済んでいます。Oさんは挨拶の内容を頭で復唱しながら、朝礼の輪に加わりました。
スピーチ・パレード
「×月×日、今日の朝礼をはじめます、おはようございます!」
 ひとりの社員が朝の一声をフロアに響かせました。その声に応えて整列した社員から一斉に挨拶が返され、続いて社長からは少々長めのスピーチ。
 「次に、今日の一言です。当番の××さんお願いします」
 「はい。えー先日、私が過去の仕事のファイルを探していたときの事です……」
 話の内容は、当番社員の小さな失敗談にことよせた注意と警鐘で、朝礼のネタとしては申し分ない内容です。
 「この話がすめば、いよいよ自分の出番」
 Oさんが緊張を高めていると、当番社員のスピーチが終了しました。ところが
 「只今の××さんのお話について、社長から一言頂きます
 「今の××君の話はすばらしかった。ただ一つ付け加えるならば……」
 と、社員のスピーチを受けて社長が話を再開。しかもその後、副社長・部長と幹部社員による「補足」や「感想」のスピーチ・パレードが続いたのです。しかも延々30分近く。無論その間立ちっぱなしです。
 ようやくOさんの出番である「連絡事項発表」タイムがやってきた時には、緊張が疲労に代わりフラフラ。
 「フツーの会社って、毎朝こんな調子なの??フツーって大変……」
 すっかり意気消沈し、初出社の朝を終えたのでした。

 しかし、Oさんを驚愕させたのは、この超ロング朝礼だけではなかったのです。

(→後編に続く)

pen2 幹部社員の話好きに辟易しながらも、毎朝の朝礼を受け続け二ヶ月後。Oさんはついに我慢の限界を実感することになる。それは身内の不幸事がきっかけだった……。次回、後編へ続く。
・…→ Text & Illustration 山本ちず
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