転職失敗談2
社長直属幹部候補
1ランク上の管理職をめざし、転職を決意したMさんは、中堅企業の幹部候補募集に応募。営業所をまかされる約束で、新しく営業所を立ち上げる仕事に就くのだが……。(→後編はこちら
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管理職の不安
「今、うちには本社の他に営業所が二か所あって、さらにもう一か所増やす計画をすすめている。土地の算段もついている状態だ。ゆくゆくはこちらの立ち上げをしてもらうとして、とりあえずは今ある営業所の一つを任せられる人が欲しい」  転職雑誌の広告を見て応募したMさん。面接で彼を出迎えた社長に、いきなり熱っぽく説かれました。  Mさんが応募したのは健康器具の卸売・販売を手掛ける中堅企業A社。高齢化社会のニーズとマッチした商品が当たったとかで、このほど30代の幹部候補を募集していたのです。
 A社は叩き上げの社長が一代で築いた企業ということで、それだけに社長もエネルギッシュでワンマンな雰囲気を持っています。その社長に言葉を尽くして口説かれたMさんは、32歳のメーカー管理職でした。
 Mさんは某メーカーで営業・経理の両方を経験し、社内でも充分責任あるポジションについていました。しかし今の不況下で社内の各部門に精通しているというだけでは、安心できません。いかに社内で評価されても、それは社内でだけ通用する管理能力かもしれない。
 Mさんは転職という道を選び、管理能力に磨きをかけることを望んだのです。
 そうして見つけた企業が、このA社でした。
社外に通用する管理力
MさんがA社に応募の最大の理由は、営業所の設立に携わることができるという点でした。社内でいかに管理能力を発揮しても、社外では通用しないこともあります。
 しかし、同じ管理職であっても、拠点を一からつくるという仕事は形になって現れ、会社の外でも通用するもの。また、創業社長の仕事ぶりを側で知るのは大いにプラスになるはず。Mさんはそう考えたのです。
 また、営業と経理の両方を経験しているMさんの経歴は、
「営業所の管理は営業能力だけでなく、財務面も重要」
 という社長のニーズと合致し、スムーズに採用へと結びついたのでした。

 「営業所を任せるつもりだが、まずしばらくは私の下についてもらって、社内のことや、経営・管理について学んでもらいたい」
 転職後、Mさんを待っていた仕事は、研修を兼ねた社長のアシスタントでした。社長自らが自分に教育を施してくれるのかと、Mさんは身の引き締まる思いと同時に、いかにも“幹部候補”という扱いに満足感を得ていました。

 しかし、いざ出勤をはじめると、“社長直属の幹部候補”というステータスは無いも同然ということを、Mさんは気付かされるのです……。

(→後編に続く)

pen2 社長直属の幹部候補として、1ランク上の管理能力を身に付けるはずだったMさん。しかし「幹部」の実態、ひいては幹部候補採用の実態を知ることになり……。次回、後編へ続く。
・…→ Text & Illustration 山本ちず
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