転職失敗談2
人見知り青年の転職
転職後の失敗で畏縮してしまったKさんだが、本業での評価は高く大手メーカーに出向が決まる 。しかし、そこでとんでもないことが起こる……。(→前編はこちら
バックナンバー
迷走する新スタート
寡黙な職人タイプだったプログラマーKさん。メールでは活発に自己アピールを展開できても、面接では自分をうまく表現できず結果はかんばしくありません。
 しかし、そんなKさんの気質を理解し「やる気になったら強い」と買ったF社の社長が彼を採用。かくして新しい職場を手にいれることができたのですが……。

 初出社の日、Kさんはとても実年齢にみえない童顔ぶりに話題は集中。
 「え?!27歳なの?おーい、××さん、Kさんていくつだと思う?」
 「23歳くらいですか?」
 「それがねぇ、27なんだって!」
 「へぇー、お若いですねぇ」
 こんなやり取りが随所で行われ、社員たちもきさくなムードでKさんを受け入れようとします。
 しかし童顔をコンプレックスに感じていたKさんは、少々畏縮気味です。
 Kさんがこんなスタートを切っていた時期、F社ではあるイベントに参加することになりました。大きなホールに自社ブースをかまえ、新製品のPRを行うのです。
 そのイベント直前、F社では参加チームが機材の搬入、設置作業に奔走していました。そしてFさんもこのチームに配属になったばかり。入ったばかりのFさんに与えられた仕事は搬入・設置のヘルプ。つまり社用車を運転し、スタッフと機材を時間に間に合うように送り届ける仕事です。
 ところがKさん、運転が大の苦手。ほぼペーパードライバー状態の上、車に乗らないもので道をほとんど知らず、土地カンもありません。案の定搬入時間は遅れに遅れ、さらに会場からの引き上げの際も道に迷い会社にたどり着いた時にはもう深夜になっていたのです。
謎の暴挙
プログラミング以外のことにはからきし自信のもてないKさんは、搬入の失敗でさらに畏縮度が加速。そんな時、やっと待っていた仕事が入ってきます。F社は家電大手メーカーと契約し、プログラマーを多数出向させていました。一種の花形部門でもあります。
 入社間もないKさんをこの出向メンバーに決めた社長の意志に、なみなみならぬ期待がうかがえます。Kさんに異存があろうはずがない、誰もがそう思っていました。
 ところがー。
 Kさん、出向一日目の夕方、出向先のメーカーの担当者からF社に連絡が入りました。なんとKさん、メーカーの担当者に辞職を申し出て、辞めてしまったというのです。これには社長も仰天。平謝りで代わりの人員を用意するやら、Kさんの自宅に連絡し事情を問いただすやらてんやわんやです。
 「いったい何が気に入らなくて……」
 「辞めるにしても出向先にそんなこと言うなんて」
 「そういえば出向が決まった時、すごく困った顔をしてたような……」
 搬入事件より寡黙さを増していたため、いったいKさんが何を考えていたのか、社員たちにも見当がつきません。社長も怒り心頭でKさんのことなど口にしたくも無い様子。
 予想できるのは、人見知りが激しいところにもってきて、車の運転で自信をなくし、さらに出向と、不得意科目が3つも重なり極度に自信を喪失してしまったのではないかということです。やる気にを出せば威力を発揮すると言われたKさんですが、やる気が出ない職場には一秒たりともいられないという爆弾的な気質も抱えていたようで……。
 にしても、退職の申し出くらい出向元に言えなかったのか?社会人としての基本さえも忘れてしまった彼の暴挙に皆あきれ、首を傾げるばかり。Kさんは謎を残して消えた幻の社員として、F社で語り継がれてゆきそうです。
サクセスポイント
今回はココが問題!
したい仕事をするために
例えばおなじ技術職でも専門の企業ではなく、メーカー内の部署などに勤務する場合、配置替えなどで希望部署とかけはなれたところに異動になる可能性があります。
これでサクセス!
スペシャリストの+α
これだけしてれば幸せ!この仕事だけをしたい!スペシャリスト指向にはごく当たり前の希望です。しかし、会社規模の縮小、人員削減などが流行る昨今、専門外の仕事が回って来ることも視野に入れなければいけません。逆をいえば、一人何役もできる人材が好まれる傾向もあります。
少なくともどんな仕事でも、無くしてはいけないのはコミニュケーション能力です。
・…→ Text & Illustration 山本ちず
バックナンバー

▲ページのトップへ