転職失敗談2
人材紹介エージェントの苦悩
人材と企業のマッチング−。華やかにみえる人材紹介業界だが、新規参入したG社にとって現実はなかなか厳しい。クライアントのニーズにあった人材を探しツテをたよるのだが……。(→後編はこちら
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新規参入のハンデ
人と企業のマッチングを仕事とする人材紹介企業。たくさんの登録者をかかえ、適材適所に人材をさばいているような印象すら与えることもありますが、すべての企業がそんなに恵まれた環境にあるわけではありません。今回は人材紹介企業の中でも、苦戦をしいられているG社のケースをご紹介します。

 G社は最近人材紹介の分野に進出したばかり。その業界のノウハウを蓄積し、主要メンバーは経験者をそろえ、万全の体制で事業をスタートさせたものの、そこは新参の悲しさ。まずしばらくは登録者不足に悩まされることとなります。
 業績をあげるために、営業担当が企業をまわり、がんばって人材募集の案件を集めてくるのですが、こちらも新規参入のハンデを背負っているためか、なかなか人材が見つからないような難しい案件ばかりを抱えることに。
 「液晶の画面なんかを作ってる会社なんだけど、タッチパネルのボタンの画像を作れる人が欲しいんだけど。経験者で」
 ものすごくニッチな求人です。
 この案件、G社の中で最も活発にマッチングさせていたYさんの元にもちこまれました。しかし、登録している人材にもあいにくマッチしそうな人はいません。
 加えて、コンサルタントたちにもそれぞれ得意分野があります。Yさんが得意とし、人脈的にも融通がきくジャンルは経理関係。まったくの畑違いです。
ツテをたどって人探し
それでこ困ったYさん、自分の友人・知人はもとより、職場の事務の友人・ツテまでたどって、経験者を探しますがみつかりません。
 「ちょっとそういう分野をかじった程度でもいい。ボタンじゃなくても何かのマークぐらいまでなら譲ってもいい
 なにを「譲ってもいい」のかよく分かりませんが、とにかく各方面を探しに探し、アルバイト社員の友人で、過去にメーカーで社内広報誌を作っていたという女性にいきあたります。現在アルバイトをしながら仕事を探しており、趣味で少しイラストを書く程度。募集の職種とほとんど接点はありませんが、譲歩に譲歩した結果です。
 「紙面のレイアウトとかはしたことがあるはずですが、画面みたいなものは作ったことないと思いますけど……」
 としぶるアルバイトを
 「いやMac使うんだろ?だったら全然オッケー」
 と説き伏せ、なんとか会社に来てもらうことに。あって話してみると、やはりその方面での経験がないばかりか、アルバイトながら雑誌関係の企業に仕事がきまりそうとのこと。
 「こんな私が面接にいってもいいのでしょうか」
 と尻込みする女性をさらに口説いて口説いて、会うだけは会わせることに成功します。
 しかし、経験と仕事内容のズレはやはりどうしようもなく、また本人もアルバイトで決まっていた仕事を優先させたいとのことで、結局この紹介はミスマッチに終わります。
 「やっぱり彼女、会わなかったでしょう?」  直接彼女を紹介したバイト社員は心配そう。しかしYさんはカラッとした顔でこういいました。
 「いや、まとまりそうにないのはわかってたよ。でもあれでいいんだ。誰も紹介できないよりマシだから」
 新規参入の人材紹介ビジネス、Yさんは無理を承知の上、「紹介した」という実績だけでも作ろうと必死だったのです。

(→後編に続く)

pen2 企業ニーズに応えようと奔走した人事コンサルタントYさん。次回はこまった登録者に悩まされることに……。次回、後編へ続く。
・…→ Text & Illustration 山本ちず
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