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| 内定と契約 |
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気持ち的にも余裕が生まれたTさん。本当に行きたいと思う企業だけにターゲットを絞れるようになったようです。それまでは離職期間が長引くことを恐れ、慌て気味で無理に条件を合わせるような応募をし、不合格の結果をもらうこともあったのです。 この仕切り直しがうまくいったのか、うち一社の面接で面接官の反応に手応えを感じます。 「現在は派遣でお勤めとのことですが、こちらの契約などは大丈夫でしょういか。うちとしてはできるだけ早くつ来ていただける方を希望しますし、そのあたりがスムーズでないと……」 「現在は長期のお仕事ではありますが、契約の単位は3か月更新ですので、次の契約更新のタイミングで、別のスタッフに引きつげるよう交渉するつもりです」 実際転職が決まれば、そうしようと常々思っていたことでした。 しかし、事態はそう予定どおり運びません。派遣元の担当営業に、次の契約は更新しない旨相談にいったところ…… 「長期だって言ったじゃないですか、困りますよ!」 と大層ご立腹。 「都合が変わりまして……今すぐでなくて、この契約終了まではきちんと続けますし……」 「先方は同じスタッフに継続して勤めて欲しいって言ってるんです。それに先方からのTさんの評価も高いんですよ。これからもずっとお願いしたいとまで言ってくださってるんです」 「でも……」 「じゃあ、時給があがれば契約更新してもらえますか?!次の更新でアップできるよう先方に掛け合ってみます。そのかわり更新、お願いしますよ」 転職活動中とはいえ、まだ内定の確約が出る前。しかも長期の約束をしてしまった手前、強く断ることもできず、また時給アップの欲もあり……いろいろな要素がからみあい、Tさんの契約終了は時給交渉次第になってしまいました。 |
| まさかの時給アップ |
実際問題、派遣をはじめたばかりのTさんの時給がそう簡単にアップするとも思えず、良い口実ができそうかも……などと考えていたところ、この営業マン、かなりがんばってくれたようで、「やりましたよ、Tさん。次の更新から時給200円アップですよ!がんばって下さいね!」 と予想以上の“朗報”が舞い込んできたのです。 さあ、今度はTさんが慌てる番です。 まず、とりあえず返事待ちになっていた応募先に結果の問い合わせをしたところ、こちらはこちらで、 「私としてはTさんにお願いしたいところですが、上の方が派遣の契約面などを心配しておりまして……その無理に契約を破棄したりというのであれば当社としても……」 歯切れの良くない返事がかえって来ました。言外に、仕事をほおり出して来るような人間では困る、とも臭わせているようです。 派遣元からも「必ず契約更新を」と強く勧められ、結局Tさんはしばらく派遣を続けることに。 自ら選んだ派遣の仕事とはいえ、本末転倒な結果にやりきれない思いのTさんでした。 |
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| ・…→ Text & Illustration 山本ちず |