転職失敗談2
現場に出る社長
面接に登場した社長。しかし技術面での会話についてゆけず、疎外感を味わってしまう。焦れた社長はとうとう応募者に……。(→前編はこちら
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専門知識か常識か
社内エンジニアの募集にイチからたちあうと宣言した社長。重要な技術面は門外漢。しかし持ち前の「人を見る目」でジャッジを下すと大張り切りです。
 応募者全員とできるだけ会って話を聞きたかった担当のMさんですが、社長のスケジュールを考えるとそれは無理な相談。やむなく書類で一次選考となりました。
 送られて来た履歴書・職務経歴書を前に、やはり現場の人間であるMさんは、技術面での学歴・職歴が気になりますが、「人を見る」社長は顔写真や履歴書の文字の上手下手など、つぶさにチェックをいれていきます。
 一事が万事こんな状況ですので、案の定Mさんと社長との間では、選び出す応募者に大幅にズレが出てきました。
Mさんが「欲しい」と思う技術をもった人材でも、社長にかかれば
 「汚い字だな。こういうところに人柄は出るもんだ。人格が幼いんじゃないか?あと転職回数も多いな。これならまたすぐに辞めそうだ……」
 たちまち不適格者。もっとも、この人物はMさんが是非にと説得し、なんとか面接に招けたそうですが……。
 その反面、Mさん的には首をひねるけれども、社長が選び出した人物もかなり面接に呼ぶとになってしまいました。叩き上げの社長が好むのは、コンサバティブな面接写真、力強い文字、分かりやすい学歴と、いたって一般常識度が高そうな履歴書でした。
 いよいよ話は、技術をみるMさんと、「人」をみる社長との二人三脚の面接に移ります。
社長の価値感
まずトップバッターはMさんが強く推す応募者Aさん。社長が履歴書をあまり気に入っていなかった彼です。
 Mさん、早速気になっていた技術的な質問をいくつか投げかけてみます。Aさんはあまり雄弁なたちではなさそうですが、言葉を選びながら、ゆっくり言葉を返していきます。
 そんなAさんの対応は、物静かな技術者と多く接してきていたMさんには違和感はなかったのですが、叩き上げ&営業指向の社長の目にはボソボソとしゃべる陰気な応募者と写ったようなのです。
 また、専門的な会話が続き、なかなか自分が参加できないことに社長は焦れはじめたのか、
 「まあ、その話はいいとして、ところでAさんはどうしてうちで働きたいと思ったの?」
 強引に質問を開始。Aさんは技術的な指向の一致と、キャリアアップを理由としてあげますが、そんな理由でヘソをまげた社長が納得するわけもなく、
 「べつにうちでなくても良いんじゃないの?」
 と冷ややかな反応。さらに
 「だいたい技術、技術っていうけど、会社に入るからには、技術者であるまえに会社員であることを忘れてもらっちゃ困るね。いくら技術者だからって、腕一本でやっていけるほど今の世の中優しくない。まず会社員としての気配りやマナーは身に付けていかないと……なにもうちが欲しいのは天才技術者じゃないんだ……」
 と、応募者にお説教のオマケつき。
 Aさんは態度を硬化させて、冷ややかな空気の中面接は終了。
 この面接で失敗を痛感したMさん、次からは社長を仲間はずれにしないよう気をくばりながら、自分の知りたい専門的な話題を掘り下げていくという、非常にめんどくさい面接をする羽目になりました。
 面接が一通り終了し、なんとか社長のお眼鏡にかなった人物に内定を出すころには、Mさんはもうクタクタ。
 それよりなにより、面接で直面した社長の技術者に対する価値感が、Mさんにとって衝撃だったらしく、今度はMさん自身が転職を視野に入れはじめたとか。なんとも皮肉な結果です。
サクセスポイント
今回はココが問題!
経営者の面接
今回、Aさんの視点で考えると、専門職の面接で門外漢の社長を取り残した会話をしてしまったのがネックにな。面接担当が複数いる場合は、そのうちの一人に分かってもらうのではなく、必ず全員と対話することを考えること。
これでサクセス!
第一印象は履歴書から
履歴書というのは思った以上に社内の人間の目に触れるもの。フランクな職場では他の部署の人間にも見せ、気軽に「この人どう?」と印象を聞いたりすることもあります。それだけに書面一枚の与えるイメージも注意したいところ。文字の上手下手も重要ですが、大切なのは写真写りと丁寧に書いてあるということ。
・…→ Text & Illustration 山本ちず
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