転職失敗談2
試用期間活用法
中途採用に試用期間をもうける企業が増えている。しかし期間中の待遇はアルバイト同前だったり、期間が延長されたりと、内定が出ても安心できない。そんな時、Sさんは試用期間中から正社員待遇の企業に転職したのだが……。(→後編はこちら
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試用期間のハードル
中途採用にあたり、試用期間をもうける企業が、不況のせいか増加傾向にあるようです。
 試用期間は、本来転職のミスマッチを防ぐためのもの。採用側にとっても応募側にとってもありがたいシステムのはず。しかし、企業にとって正社員を抱えるリスクが大きくなってきているためか、この「試用期間」がさまざまな役割を担いはじめているのです。
 普通大きな問題が無い限り、一定の試用期間が済めば、スムーズに正式の採用へと移行します。しかし最近では正社員への登用を難しくし、時間をかけた二段階選考といった体にしている企業も出てきました。

 また、試用期間中は正社員と同様の待遇であるべきなのですが、実際にはそうとは言えず、社会保険無しの日・時給換算というアルバイトに近い形態の企業も見受けられます。さらにその期間もひと月〜半年、長いところになると
 「様子をみながら考える、延長も有り」
 などとして、延長が繰り返され、結果一年以上も不安定な雇用形態が続いたケース、さらには試用期間あけに
 「君はうちには合わないようなので、保険の無いアルバイトなら雇ってもいい」
 と別の雇用形態を提示されたケースなど、一筋縄ではいかない事態も起こるようになりました。
正社員待遇
こうなると、試用期間とは人と企業の相性を見るというよりも、中途採用者が仕事を覚えるまでの研修期間、はたまた人件費削減方法の別称ではないかという気もします。応募者にとっては転職後も気を抜け無い状態が続きます。  ところが最近はそんな「試用期間」の存在を逆手にとった、たくましい(?)転職者も出てきたのです。

 機器販売企業A社に転職が決まったSさん。営業職のまとまった募集に応募し、数名の採用枠に入ることができました。3か月の試用期間がありましたが幸い、A社は試用期間後の正社員登用もスムーズで、試用期間中の待遇も各種保険完備で正社員と同等と申し分ありません。
 入社後すぐ、中途採用者には人事部より保険手続きのため、年金手帳と雇用保険者証を提出するようにと連絡が入りました。同時に採用になった他の社員たちは、一週間ほどであらかた提出をすませたのに、Sさんだけは一向に提出する気配がありません。
 しびれを切らした人事の事務社員が直接催促したところ、Sさんは人事部にやってきて、人事部長にこう申し出たのです。  「年金手帳と雇用保険者証のことなんですが…」
 「もってきてくれた?」
 「いえ、ちがうんです。提出を待ってほしいんです」
 「どうして?なくしたの?だったら再発行の……」
 「いえ、そうじゃないんです」
 「じゃあ、どうしたの?」
 Sさんは言葉を続けました。

(→後編に続く)

pen2 せっかくの正社員待遇にもかかわらず、年金手帳と雇用保険者証の提出を渋るSさん。その真意とは……?次回、後編へ続く。
・…→ Text & Illustration 山本ちず
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