転職失敗談2
休暇のいいわけ
休暇がとりにくい職場で転職活動をはじめたTさん。面接のために休むとも言えず、選考がすすむにつれて強引に会社を休むようになるのだが……。(→後編はこちら
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有給が「無い」会社
在職中の転職活動で、初期の難関といえば、面接の時間をどう捻出するかという問題。以前なら企業側が「ぜひとも欲しい」という人物であれば、夜間・休日の面接スケジュールを組んでくれることもあったようですが、最近はそうした企業もめっきり減り、営業時間内に呼び出すところが多いようです。
 在職のまま転職活動をはじめたTさんは技術系の会社員。外を飛び回る営業系と違い、内勤が基本なので「外回りのついでに面接を」という風に、さり気なく時間を作ることができません。面接の呼び出しが来た場合、半日か一日、会社を休む必要がでてくるのです。
 ところがTさんの職場には「代休は消化してもいいが、有給休暇は特別の理由が無ければ不可」というやっかいな不文律があったのです。そのため有給消化率はきわめて低く、実際の使われ方は、急な病欠の「振替休暇」に当てたという程度。そこを知らない新入社員がうっかり
 「有給休暇を使って旅行に……」
 などと言い出そうものなら、上司が別室に呼び出し、自分の行為がどんなにこの職場にそぐわないものであるかを、とくと語り諭されることになります。
 また娯楽以外のかなりの理由があっても、この上司のハードなチェックをのりこえなければ、休暇取得にたどりつきません。自分がいかに休まざるをえない、のっぴきならない理由があるのか、ありとあらゆる指摘にたえられる理由をプレゼンテーションせねばならないのです。
 このような状態で、転職のための有給などハナからとれるはずもなく、そうなると残された方法は2つしかありません。退職か「ズル休み」かー。
面接中の着メロ
そんな時、履歴書を送った企業のひとつから面接の呼び出しがありました。その際、電話越しに担当者が
 「面接の日時ですが、火曜日の1時でお願いできますでしょうか。もし駄目な時には水曜日か……在職中でお忙しいとは思いますが平日でお願いします」
 と念押しされたために、これはどうでも休まなければなりません。
 事前に休暇がとれない職場と分かっていたため、Tさんは「急病」になることに決めました。
 面接当日の朝、上司宛に電話を入れ急な病欠を連絡。そしてその足で面接先へゴー。完璧な計画のはずでした。  ところが、応接スペースに通され、面接官を待っていたところへ携帯の電子音がけたたましく鳴り響きます。通知をみれば、予想どおり会社の番号から。もう間もなく担当者が洗われそうなタイミングだったので、Tさんはすかさず「電話に出られません」ボタンをプッシュ!ところが電源を切り忘れたため、面接中に再度メロディが鳴り響くという失態を招いてしまいました。
 「もしやズルがバレたのか……それとも何か会社で大変なことが……」
 携帯は切れば止まったものの、電話の向こうの事態が気になり面接中だというのに気もそぞろ。また電子音で会話を途切れさせてしまい、少なからず面接官の心情を悪くしたような気もします。
 面接終了後あわてて職場に電話を入れると、なんとクライアントからクレームが入り、Tさんがいないと対応できないという緊急事態。クライアントに怒鳴られたと半べそかいてる女子社員を押しのけ、電話に出たのは上司。
 「おい、何のための携帯だ!切ってたら意味ないだろう!今、病院か?診察は終わったのか?今から出て来れそうか?無理じゃなければすぐ出て来てほしい。それが無理ならなんとか指示を出せ。とにかく急いで」
 どうして自分が休んでいる日に限って……。
 面接は散々、職場はドタバタと踏んだり蹴ったりです。おまけに「病み上がり」を装いつつ会社に戻らねばなりません。

(→後編に続く)

pen2 ズル休みで面接を重ねるTさん。しかし毎回鳴り響く携帯と、休み明けのフォローにおわれ、転職をあきらめかけるが……。次回、後編へ続く。
・…→ Text & Illustration 山本ちず
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