転職失敗談2
休暇のいいわけ
面接のたびになんとか休暇をとっていたTさん。しかし度重なるごとに不自然さが目立ち、転職活動がおっくうになりはじめていた。そんなとき何が何でも応募したい企業と出会って……。(→前編はこちら
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どう思われてもいい!
その後もゆるやかながら転職活動を続けていたTさん。面接の折りには体調不良を理由に会社を休んでいましたが、その都度、面接中にかかるかもしれない携帯音にビクビク。
 そうそう会社を休めないTさんは、同時に複数社に応募せず、つねに一社の選考に専念。約月1回の面接ペースに押さえていたとはいえ、2、3か月連続で定期的な「病欠」が続くことに、自分でも微妙な不自然さを感じます。
 かといって冠婚葬祭関係を理由にしては、会社から電報などを打たれて厄介です。
 在職のまま転職活動を続けることが徐々におっくうになり、いっそ先に退職してから……とも考えたこともありましたが、不確定な無職期間を設けることの方が恐ろしく、気が付けば、転職雑誌を手にとる回数も減りかけていました。
 そんな時、Tさんがあこがれていた企業の求人広告を目にします。
 これだけはどうしても応募したい、受かって辞めたい、辞める会社の人間にどう思われてもいい。上司の疑いの目を跳ね返してでも応募したいと気持ちが奮い立ったのです。
 ハラをくくったTさんは、上司のもとへ出向き、有給休暇の申請にチャレンジします。
有給で挑む面接
先にも述べましたが、今の職場で「私用」の有給消化は慣習で禁止されているため、この行為はかなりの度胸が必要です。
 それでもTさんは確実に、安心して面接の時間をつくるために、あえて事前に休暇を申請したのです。
 勿論、その裏に「面接をパスして絶対辞める」の意志があったのは言うまでもありません。
 しかし、予想通り上司はいい顔をしません。
 「休暇って、いったい何があるんだ?こんな忙しい時期に……他に誰もこんなことするヤツはいないぞ」
 あまりに厳しい態度の前に、思わず怯んでしまったTさん、つい
 「そ、その日はマンションの配線工事があるので、たちあわないといけなくて……」
 と、とっさに嘘の言い訳を口にしてしまったのです。
 「他にたちあう人がいないのか」
 「一人暮らしなので無理です」
 「丸一日も必要なのか」
 「何時に工事がはじまるか、どのくらいかかるか分からないので」
 と、あれこれ問答の末、やっと休暇を得ることが出来ました。上司の疑いの眼は光ったままでしたが……。

 ところがそうまでして挑んだ面接でしたが、なんと10分そこそこで終了。条件面・キャリア面でマッチしない部分があったために、短時間の応答で終わってしまったのです。
 がっかりしながら席を立とうとするTさんに、気を使ったのか面接官の一人が声をかけてきました。
 「今日はこれからお仕事ですか?」
 「いえ、今日は有給をとってきましたので……」
 「そこまでしていただいたとは……」
 驚きつつも申し訳なさそうな面接官氏。ところが、脇からもう一人いた面接官がサッと口を挟みました。
 「こんな忙しい時期に休めるとは、うらやましいねぇ
 心ないイヤミ攻撃にブルーになり、さらに辞めるつもりで強引に休みをとった職場にもどらねばならない気の重さをかかえて、Tさん昼下がりのビジネス街を去っていきました。
サクセスポイント
今回はココが問題!
在職中の転職活動
在職中の転職活動は、面接の時間づくりが悩みの種。在職中であることを理由にすれば、夜間の面接を実施してくれる企業もあるようですが、選考がすすみ役員面接など、多忙な人物が複数同席せねばならない場合には、応募者都合で時間の変更ができない場合もあります。やはり平日に1〜2日の休暇が取れる体制が転職には必要になってきます。
これでサクセス!
面接のための休暇
休暇がとりづらい職場で面接の為に繰り返し休んだことで、転職活動をしていることがバレた、ということもあります。事実が明らかにならなくとも、上司から「そういう目」で見られるようになったために、職場にいづらくなり、転職活動に焦りが出て来ることは充分あります。
転職活動に休暇申請は不可欠とはいえ、せっかくの在職中、じっくり会社を選べる環境で、すすんで焦りの要因は作りたくはないもの。そのためには、せっかくの面接チャンスを無にしないよう、応募の際の「無駄撃ち」を極力控えることが重要です。
仲のいい同僚・上司にカミングアウトし、それとなく協力してもらうというのも避けた方がいいでしょう。転職意志はどこから漏れるか分かりません。その結果、焦って転職しなければならなくなったりすると、本末転倒です。いろんな「焦り」の要素が入り込まないよう気をつけて。
・…→ Text & Illustration 山本ちず
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