転職失敗談2
新事業は吉か凶か?
企業の経営が行き詰まってきたとき、新しいビジネスに活路を見いだそうとすることはよくあること。もっとも、その多くは当たり的な起死回生策で終わってしまうことが多いのだが……。(→後編はこちら
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店長がいっぱい
Sさんはコンピュータ関連機器の販売会社P社に勤める30歳。P社はバブル崩壊後に手堅く成長を続けてきた企業。企業向けの販売のだけでなく、個人のマーケットをうまく開拓し、特に中古機器の売買で各知の電気屋街に直営の販売網を広げることに成功しました。
 Pさんが入社し、仕事を覚えてきたのもちょうどそんな時期。入社後しばらくは「現場を知る」という意味で全国各地の直営店を転々と武者修行状態で配属に。そんな数年を経て、本社エリアの販売店の店長になったのが20代後半。もうすぐ修行期間も終わり、本社にもどれるかも、というころSさんは結婚し家庭を持ちました。
 ところが、結婚して1年ほどたった頃、あれほど調子の良かった直営の販売網に陰りが見え始めます。
 P社の出店ペースはすさまじいものあがあり、取り扱い品目を変えているとはいえ、最盛期で数メートルの近距離に同社の販売店がいくつも点在するほど。昼どき1〜2時間の間は、近在の定食屋は同じショップのブルゾンでいっぱいになるといわれたほど。
 この店舗の多さが逆に仇となったのです。
無駄になる人件費削減策
面白いほどの売れ行きを誇っていたP社ですが、Sさんが店長を勤めるようになって1年ほどで、じわじわと売り上げが下降線をたどりはじめます。自分の責任ではと、Sさんも焦ってあれこれ変革を持ち込みますが、この売れない現象はSさんの店だけでなく、同地区の系列ショップで同様。
 むしろSさんは頑張り続けた方で、同地区でも奮闘の甲斐なく閉店するショップがとうとう出てしまいます。
 同地区ショップのにわかの閉店にSさんもショックを隠しきれません。しかし、それ以上にSさんを困らせたのは、閉店した店の従業員の大部分をSさんの店舗で抱えることになってしまったこと。
 実はSさん、売り上げの頭打ちが続いた時期にアルバイトや契約の販売員の大部分を解雇し、フロア面積もレイアウトを工夫して小さく押さえ、賃貸料を押さえたりと、少ない人数で効率良く店をまわしせるよう店のシステムを組み直したばかり。
 にもかかわらず、さらに人件費のかかる社員たちがドッとやってくることになったのです。Sさんの経費削減策はほとんど無意味なものになってしまいました。さらに、閉店になった他店の店長が副店長としてSさんの下につくことになり、これはこれで気を使います。
 こうして、Sさんの改革はほとんど効果をあげることなく、売り上げの悪化はどんどんすすんでいったのです。
 そんな状況を歯がゆく思われたのか、はたまた販売網全体の売り上げが回復しないためか、本社からある改革案がもたらされたのです。それは……。

(→後編に続く)

pen2 本社の改革案はSさんが思いもつかないものだった。その衝撃と意外性でSさんは勤務に不安すら感じるようになるのだが……。次回、後編へ続く。
・…→ Text & Illustration 山本ちず
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