転職失敗談2
海の向こうの長男
海外への転職を決めたKさんに両親は「長男だから」と大反対。それを振り切って海を渡ったのだが、両親の思わぬ逆襲が待っていた……。(→前編はこちら
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お盆とお正月には
実家と絶縁状態で転職、海外へ赴任していったKさん夫妻。実家を頼れないため、国内の住居の処理やもっていけない自宅のものの処理などに、ずいぶんと頭を悩ませ、また転居後の忙しさは目が回るほどでしたが、KさんよりもKさんの妻・H子さんの方がイキイキとしているようです。
 聞けば、別居していたとはいえ「長男教」信者のKさんの両親が、「長男の嫁」たるH子さんに求めるものも少なくなかったようで、そのストレスから開放されたことが、なにより嬉しいようでした。
 まだ日本からの荷物を完全に開け切っていないころ、日本より国際電話が入りました。電話の主はKさんの母親。
「とうとう勝手にそっちにいっちゃったわね。お盆とお正月にはかえってくるんでしょうね?」
「正月はともかく、夏休みはこっちにきて間もないし無理だよ。第一こっちにはお盆なんて風習ないし……」
「何いってんの!あんたはうちの長男なんだからね!勝手なことばかりして!」
赴任した直後だというのに、「いつ帰る?」の一点張りです。
 Kさんの留守中にはH子さんに同様の電話がかかる時もあり、夫婦そろって
「こちらに来たばかりですから、そうそう帰れません」
「忙しいので今年は無理かもしれません」
と口上をあわせて、ひたすら断り続けていました。
老後の不安
そんな息子夫婦の行動に業を煮やしたKさんの両親は、とうとう行動に出てしまいます。
 Kさんの勤務先の日本本社に、Kさんの母親が電話で陳情をしたというのです。
「私たち夫婦はもう年齢も年齢だから、いつ倒れるか心配。こんなとき長男が海外にいってしまって心細い限り
「勝手を言うが、息子を日本に返してもらえないだろうか。国内の仕事もいろいろあるでしょう」
 ……等々、「老後の不安」をチラつかせながら。
 人事部もKさんの希望を母親が代弁してきたのかと驚き、半ばあきれながら本人に連絡をとったため、事実が発覚。
「お母さんも心細いんだろうけど……うちとしても海外に行ってもらうことで採用したんだから、もう一度よく話し合って……」
 と諭された時は、Kさんは驚きと恥ずかしさでいたたまれなかったといいます。本社の人事に謝るやら、誤解を説くやらで一騒ぎ。帰宅後は
「この不景気な時に俺をクビにするつもりか!!」
 大激怒の電話を実家に飛ばし、
「長男長男って言うけど、まだ日本には他の兄弟がいるんだから、心細いならちゃんとそっちとも話をしてくれ。何度も言うが、しばらく日本には帰“ら”ない
 と改めて最後通告をつきつける形になったのでした。
サクセスポイント
今回はココが問題!
海外転職
海外企業・支社への転職は特別な人がするものではありませんが、独特の準備が必要です。情報収集は国内の転職以上ですし、転職にあたって就労ビザも必要になります。ビザは国・業種によって出やすい・出づらいがあるので準備期間は十二分に。
また永住するのではなく、一時日本を離れる予定の場合、日本に残してゆく財産・私物の管理も必要になってきます。実家・親類に協力をあおぐ場合こちらも相談・準備が必要になります。
これでサクセス!
家族の理解
転職に家族が難色をしめす時、やはり本人が説明し、言葉を尽くして理解してもらうのが一番ですが、それが無理な場合は第三者の力を借りることも考えましょう。人材紹介企業のコンサルタントなど「転職のプロ」の言葉を借りることで、もう一度転職のメリットが導き出せ、説得に役立つかも。
・…→ Text & Illustration 山本ちず
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